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佐藤智・全国在宅療養支援診療所連絡会会長 |
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誰でも高齢期になれば慢性病などを抱えますが、それでも慣れ親しんだ自宅や地域で暮らしたい、家族や友人に囲まれて最期も迎えたいと思うのではないでしょうか。 ところが、大方の人はいま病院で最期を迎えています。しかも過剰な医療の中で。いろんな事情があるにしても、これは異常なことだと言わざるを得ません。
私は戦後間もなく、内科医になってすぐに長野県の寒村で、1人で診療に当たりました。そこで自宅で病んで亡くなるお年寄りを43人もみとりました。大変でしたが、当時はそれが当たり前でした。この経験が東京都東村山市の病院で、寝たきり老人の訪問看護を始めるきっかけになりました。四十年近く前のことです。全国で初めてで「訪問看護なんて言葉はない」と言われた時代でした。「寝たきり」ではなく「寝かせきり」になっていたんですね。 このときに学んだのが「地域社会の力」です。医師だけでなく訪問看護やホームヘルパー、家族、時には近隣の協力がなければ在宅ケアは成り立ちません。 こう言うと「昔のような地域社会はもう崩壊した」という反論が出てきそうです。だからこそ、新たにつくっていかなければなりません。「自分たちで守り、支えあう」というのは人間社会の本質だからです。 昨今のように青少年の殺人事件を見聞きするにつけ、家族の死を身近に取り戻す必要性を痛感します。そのためには、家で診てもらってよかった、みとってよかったと思ってもらうことが大切です。そこに病気とともに生活も診る在宅医療の今日的意義があります。 × × さとう・あきら 24年東京生まれ。会員制の在宅療養組織・ライフケアシステム代表で日本在宅医学会会長も務めた。著書に「在宅ケアの真髄を求めて」など。 (2008/05/13) +font> |