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死避けられない患者家族に 救急現場で取り組み |
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救急現場で、治療を尽くしても死が避けられない終末期の患者の家族に「亡くなった後、臓器を提供することもできる」と医師が選択肢を示す取り組みが始まっている。深刻な臓器不足が続く中、潜在的な提供の意思を掘り起こし移植につなげるのが狙いだが、提供で家族の死別の悲しみが和らぐこともあるという。 ▽65%が提供
札幌市の正木真貴子さん(34)の兄=当時(38)=は1月、仕事先で突然倒れ、市立札幌病院の救命救急センターに運ばれた。間もなく脳死とみられる状態に。兄は意思表示カードは持っていなかったが、真貴子さんは母と相談し臓器提供を希望した。亡くなったのは四日後。腎臓や角膜などを提供した。「提供後、兄は笑っているように見えた。『自分もそうしたかったんだよ』と言っている気がして、うれしかった」 真貴子さんのように、家族から意思表示があるケースは多いとは言えない。同病院救命救急センターの鹿野恒医師は「こちらが選択肢を示して初めて、患者がカードを持っていたことを思い出したり、提供を考えたりする家族もいる」と話す。 鹿野医師が臓器提供の選択肢を家族に提示するようになったきっかけは、別の病院に勤務していた2004年1月に担当した20代の女性患者だ。容体は厳しく「医師として患者が亡くなるのをただ待つだけでいいのか」と考え、患者の両親に話してみると、意外なことに喜んでもらえた。「臓器を提供することで、娘はどこかで生きていくことができる」 今年1月までに臓器・組織提供を家族に打診したのは31例。うち、家族の意向が一致し実現したのは20例で、約65%を占める。 ▽死の受容
トヨタ記念病院(愛知県豊田市)の入谷克己医師も、選択肢提示に熱意がある。「一番難しいのは、家族が死を受容できているかの見極めだ」患者の回復をあきらめきれない気持ちでいる家族に話して、つらい思いをさせてしまったこともある。「『頑張って』という家族の患者への言葉かけが、『よく頑張ったね』と変わるような瞬間がある。家族の気持ちに寄り添うことが大事」 多くの重症患者が運ばれる救命救急の最前線。亡くなる患者の家族と向き合うこうした取り組みを、重荷だと感じる医師は少なくない。入谷医師も最初はそうだった。でも一度やってみて家族に喜んでもらえると「また次も」という気持ちになるという。 ▽医療の質
選択肢提示に病院全体で取り組んでもらおうと「ドナー・アクション・プログラム(DAP)」の講習会を開くなどしているのは、新潟県臓器移植推進財団(新潟市)。厚生労働省の研究班事業として展開され、12道府県の病院が参加する。20カ国以上で実施されている同プログラムは(1)医学的にドナーになり得る患者の識別(2)院内の連携(3)家族の悲嘆ケア―などの内容で、各病院がこれに沿って院内の体制を整備する。カルテの検証も組み込まれ、選択肢提示の有無の要因などが分析される。 同財団の秋山政人さんは「プログラムを活用し家族ケアなどが充実すれば、結果的にその病院の医療の質も上がることになる」と話している。 12道府県は新潟のほか、北海道、秋田、静岡、愛知、富山、京都、山口、福岡、長崎、熊本、沖縄(共同通信 若林久展)(2008/04/33) +font> |