「みとり-4」
寄り添うことで癒やされる
遺族がボランティアで
 患者が亡くなった時点で治療は終わる。だが、残された家族の悲しみは深い。2年前に長男の綱之さん=当時(38)=を失った東京都渋谷区の古谷喬子さん(67)も、そうだった。
 綱之さんに胃がんが見つかったのは前年の4月。夫も食道がんで入院していた最中だった。その夫は半年後に逝き、綱之さんは週1回の抗がん剤での治療を続けたが、進行がはやく帰らぬ人に。
 「立て続けでショックでした。特に息子は30代の若さでなぜ…と。1人ではとても立ち直れませんでした」
 それを支えてくれたのも、息子が実家に戻って亡くなるまでの2カ月を世話になったのも、近くの白十字訪問看護ステーションだった。
 綱之さんが一人暮らしをしていたアパートを引き払う際、病状の急変に備えて看護師が同行した。「これ、いいでしょ」などと、旅先で買い求めた置物などを手に取る綱之さん。みんなで過ごした和やかな時間は、喬子さんにとって今でもいい思い出になっている。
 綱之さんは、家族には言いにくい“もしもの時のこと”も看護師には打ち明けていた。「元気になったら白十字にボランティアに行きたい」と日記に書き残している。
 その思いもあって、喬子さんの今の生きがいは白十字在宅ボランティアの会での活動だ。訪問看護ステーションの患者に、趣味の写真をいかして季節感あふれる花や景色を撮り、誕生カードを作る。「どんな方かしらと想像するのが楽しいんです。喜んでもらえたらうれしい」
 会のメンバーで、3年前に妻をがんで亡くした山越武司さん(76)も、1人暮らしの患者の話に耳を傾け冊子にまとめる聞き書きや患者の通院介助などをしている。「同じ経験をしている人に寄り添うことで、私自身が癒やされていると感じるようになった」という。
 訪問看護ステーションの秋山正子所長は「体験をいかして、みとりの場で患者や家族を支え、最後の日々を豊かなものにできる」と話す。
 みとりの後も看護師が訪問して気持ちをじっくりと聴く。その時間を共有することでつながりが強まり、ボランティアを希望する遺族も。ボランティアの会の会員は20人近い。互いに癒やし、癒やされる。(完) (2008/04/08)

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