腎細胞がんに分子標的薬
治療効果高いが副作用も
  腎臓のがんで最も多い腎細胞がんに対し、がん細胞の増殖にかかわる特定のタンパク質に作用して働きを止める「分子標的治療薬」が、日本でも承認された。従来の治療を上回る効果が確認されており、専門家は「今後、国内での治療形態が大きく変わるだろう」と話す。一方で新たな副作用も報告されている。
 腎細胞がんの病期は進行状況によって4段階(ステージ)に分類される。通常、がんが腎臓だけにとどまっている1期や2期では、がんの大きさに応じて腎臓を部分的に切除するか、周囲の脂肪組織なども含めて全部摘出する手術が行われる。
 がんがリンパ節に転移するなどした3期では全摘が中心。手術が難しいケースではがんへの血流を遮断する動脈塞栓(そくせん)術なども選択される。
 がんが腎臓に隣接する肝臓や膵臓(すいぞう)などに広がったり、肺や骨に転移したりした4期では、インターフェロンαやインターロイキン2による免疫療法、これらと抗がん剤との併用療法などが行われているが、赤座英之・筑波大教授(腎泌尿器科学)は「効果は最大20%程度」と話す。
 1月末に承認された分子標的薬は、欧米などの六十カ国以上で承認済みの経口剤「ソラフェニブ」。がん細胞の増殖と、がんが増大する際に栄養を供給する新しい血管を引き込む「血管新生」を阻害する働きがあり、切除が不能なケースや転移性のがんが対象となる。
 赤座教授によると、131人を対象とした国内の治験では、約80%にがんの縮小効果が確認され、2005年に承認された米国での治験とほぼ同じ結果が出た。
 既にソラフェニブ以外の分子標的薬も発売された米国では、進行した腎細胞がんで治療の約60%を占めていた免疫療法が約10%に減ったという。「手術時点で転移がないケースに補助療法としてこの薬を使えば転移を防げるのか、市販後に臨床試験を行い確認したい」と赤座教授。
 しかし、副作用も手や足の皮膚がはげ落ちる症状が約半数に見られたほか、脱毛や下痢、高血圧などさまざまな症状が報告されている。
 このため、発売後もしばらくは全症例を調査することが承認条件となっており、赤座教授は「日本人特有の副作用も把握していく必要がある」と話している。 (2008/03/25)

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