リンパ浮腫着衣に保険適用
がん手術患者、4月から
  乳がんや子宮がんの手術後に腕や脚が腫れ上がるリンパ浮腫で、治療用の弾性着衣の購入に、4月から保険が適用されることになった。弾性着衣は1万―3万円と高価な上、弾力性が落ちるため3カ月から半年で買い替えなければならず、患者には大きな負担となっていた。
 リンパ浮腫は、がん手術に伴いリンパ節を切除することで、老廃物を回収するリンパ液の流れが滞って起きる。腫れが主な症状だが、慢性化すると皮膚が象の皮のように変性してしまう。
 九州中央病院(福岡市)の北村薫副院長を班長とする日本乳癌(にゅうがん)学会研究班の調査では、リンパ浮腫は乳がん手術を受けた患者の54%で起き、うち27%は重症だった。
 治療に使われるのが、強い弾力性を持つ繊維でできたストッキングやスリーブ(袖)、グローブなどの弾性着衣。これらを着け、患部全体を圧迫したまま腕や脚を動かせば「皮下のリンパ管が圧縮と弛緩(しかん)を繰り返し、組織のすき間にたまったリンパ液を、より深い部分にある太いリンパ管に送りやすくなる」(北村副院長)仕組みだ。
 弾性着衣には4月から、いったん自分で全額を払い、後で健保組合などから払い戻しを受ける「療養費払い」が適用される。病院側にも、予防教育の指導管理料が支払われることになった。しかし、教育や治療に各病院が十分に対応できるか、懸念する声も出ている。
 一例は皮膚をなでるようにしてリンパ液を流す「リンパドレナージ」。美容や筋肉の疲れを取るマッサージと手法は異なり、医療的な知識と熟練した技術が必要となる。保険がきかないため患者が自分でできるようになるのが望ましいが、正しく指導できる医療従事者はごくわずかという。
 そこで北村副院長らは3月初め、リンパ浮腫指導技能者養成協会(事務局・九州中央病院リンパ浮腫センター内)を設立し、看護師、理学療法士、医師らを対象に指導者養成に乗り出した。
 5月13―31日には同病院で、東京大、信州大、九州大などの専門家を招き講座を開く。座学と実技の計144時間で、費用は30万円。北村副院長は「各地方で指導の核となる人材を育てたい」としている。
 問い合わせは同協会事務局、電話092(541)4936(九州中央病院代表番号、平日の午後5―7時)。 (2008/03/18)

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