「悪玉÷善玉」を目安に
コレステロール値で提唱
  心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などさまざまな病気の引き金となる動脈硬化には、血中のコレステロールが深くかかわっている。だが、検査や健康診断で示される「悪玉(LDL)コレステロール」や「善玉(HDL)コレステロール」の値は、どの程度ならいいのか分からないという人が多い。
 最近の研究で、悪玉や善玉の数値を別々に見るより、悪玉の数値を善玉の数値で割った両者の比で見た方が、動脈硬化の進行を把握しやすいことが分かってきた。専門医は自分のリスクを知る目安にこの数値を活用するよう提唱している。
 コレステロールはホルモンをつくるなど体の機能維持に重要な役割を果たしているが、血管の内側にたまるとプラークと呼ばれる塊になり、長い間に動脈硬化が進行していく。
 「悪玉が増えすぎると、コレステロールは血管壁に付着する。善玉はこれを回収する働きをしている」と話すのは、動脈硬化に詳しい吉田雅幸東京医科歯科大教授。悪玉を減らすとともに、善玉を増やしコレステロールの「くみ出し」を促す大切さを強調する。
 米国の大規模な疫学研究によると、善玉の増加に伴い心筋梗塞など冠動脈疾患の危険度は低下。悪玉の値が低く、善玉が高い場合に最も危険度は小さくなった。頸(けい)動脈のプラークを超音波で調べた別の研究でも、悪玉が低く善玉が高い場合にプラーク量が少なかった。
 そこで吉田教授らが提唱するのが「比」の考え方。「悪玉割る善玉」が2・5を超えると要注意で、通常は2・0以下、冠動脈疾患を経験した人や、心筋梗塞のリスクが高い糖尿病、高血圧などの人は1・5以下を目指すよう求めている。
 日本動脈硬化学会の基準では、悪玉140以上、善玉40未満(単位は血液1デシリットル当たりのミリグラム数)なら、どちらか一方でも脂質異常症(高脂血症)と診断する。しかし、この範囲内でも例えば悪玉135、善玉45なら比は3・0で対策が必要となる。
 「食事の改善や運動、禁煙などライフスタイルに気を配るとともに、脂質異常症の治療に使うスタチン系薬剤の中でも、善玉を上げるものを適切に使うなどしてほしい」と吉田教授。ただ善玉が高ければ高いほどいいかについては、まだ評価が定まっていないという。 (2008/03/04)

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