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国内でもステントグラフト 体への負担小さく |
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心臓から血液を全身に送る大動脈がおなかの部分でこぶ状に膨らむ腹部大動脈瘤(りゅう)は、破裂すると死亡する確率が高い。これに対し「ステントグラフト(SG)」というばね付き人工血管をカテーテル(細い管)で留置する血管内治療が国内でも普及してきた。開腹手術が不要で体への負担が小さいのが特長だ。 ▽局所麻酔で
腹部大動脈瘤は動脈硬化が主な原因とされ、通常は直径2センチ程度の動脈が徐々に太くなる。自覚症状がほとんどないため別の病気のCT検査などで偶然発見されたり、破裂して初めて分かったりすることも少なくない。こぶが小さい間は通常、血圧を下げ、こぶの拡大を防ぐ薬物治療などが行われる。男性で直径5センチ、女性で同4・5センチを超えると破裂する確率が高まるため、手術を選択するケースが増える。 こぶの部分を人工血管に取り換える開腹手術は半世紀前から行われ、手法としては確立されているが、森之宮病院(大阪市)心臓血管外科部長で埼玉医大客員教授の加藤雅明さんは「高齢者では難しい場合があり、合併症も起きやすい」と話す。こうした背景で研究が進められたのがSGだ。 SGは人工血管にステンレスなどでできた筒状のばねを組み込んだ構造。折り畳んだ状態でカテーテルに収め、太ももの付け根の動脈から患部にもっていき展開、固定する。血液はSGの内側を流れ、こぶが破裂する危険は避けられる。「通常、手術は局所麻酔で2―3時間。3日ほどで退院できる」と加藤さん。 ▽自作し初治療
加藤さんは1994年、腹部大動脈瘤では国内初のSG治療を成功させた。患者の男性=当時(68)=は呼吸器の障害や慢性腎不全を併発、開腹手術は危険と判断した。SGは市販の人工血管を利用して自作した。
その後、欧米を中心にメーカー製のSGが相次いで発売され、品質も向上。最近は年間約5万例の治療が行われているとされる。日本でも2006年夏、最初の米国製品が承認され、07年に2社が市販を始めた。昨年は約1000例の治療が行われたとみられる。開腹手術とSG治療はどちらが優れているのか。オランダと英国で行われた2つの臨床試験によると、治療1カ月後の患者死亡率は、開腹手術がともに4・6%だったのに対し、SGでは1・2―1・6%と3分の1程度だった。 一方、4年後の死亡率は欧州の別の研究で2つの治療に差はなかった。ことし1月に発表された米国での研究結果もほぼ同様だった。 ▽定期チェックを
SGの合併症の中心は、血管との密着不全で血液がこぶに漏れ出すケース。加藤さんは「この場合でもSGによる再治療が可能で、成績も悪くない。定期的に検査して状態をチェックすることが重要だ」と指摘する。現在、国内で保険が使えるのは開腹手術が難しいケースに限られる。さらに、こぶ付近の動脈は形状が複雑で分岐も多いため、SGをしっかり固定するには、こぶの上下の正常な血管の長さや角度が一定の範囲にあることが必要だ。正確な診断に基づく治療計画が結果を左右するという。 日本脈管学会など11学会は、SG治療を安全に普及させるため実施施設や医師の基準を作成。国内では約160施設が認定され加藤さんも指導医として全国を回る。 加藤さんは「自作の時代と違い、患者に均一な医療を提供できるようになった。今後、国内でも開腹手術との比較など科学的な検証が進むだろう」と話している。(共同通信 江頭建彦) (2008/02/26) +font> |