認知症やがん患者に効果
スウェーデン発触れるケア
  認知症や末期がんの患者らのケアとして、スウェーデン生まれの「タクティールケア」が注目を集めている。タクティールはラテン語で「触れる」の意味。手足や背中を手で包み込むようになでていく手法で、不眠を解消したり精神的に落ち着かせたりする効果が期待されている。
 普及を目指す民間の日本スウェーデン福祉研究所(東京)によると、手法自体は未熟児へのコミュニケーションケアとして始まり、40年近い歴史があるという。日本に紹介されてからはまだ2年足らずだが、介護施設や病院での取り組みが少しずつ広がっている。
 千葉県浦安市の「デイサービスはじめ」は、昨年から本格導入した。介護職員が認知症の女性の手を取り、円を描くように指をごく弱い力で静かになでる。女性は時折目をつぶり、落ち着いた様子だ。
 両手で15―20分程度、体に触れ続けるのが特徴で「大事にされている」との安心感が得られやすいという。
 同じグループの有料老人ホームでも実施しているが、認知症の人の不眠や夜間のはいかい、暴力などの症状などが大きく改善したという。佐藤光男施設長は「回想法や園芸療法などあらゆる方法を試してきたが、落ち着かせるためには一番効果的」と太鼓判を押す。
 新潟市のみどり病院は、認知症が進むなどして寝たきりで意思疎通ができなくなった人に実施。「時間を共有し、距離を縮めることで、職員の患者さんへの接し方も変わる」(市原綾子副院長)という。
 山形県酒田市の県立日本海病院は、末期がん患者の痛みを和らげる緩和ケアの一環として導入した。「よく眠れるようになった」という反応が多く、痛み止めの量が減ったり表情が和らいだりといった効果が出ている。
 緩和ケア担当の坂井庸祐外科医長は「効果を現す具体的な数値があるわけではないが、いい影響が出ており、補完的なケアにしていきたい」と話す。「自分が落ち着き疲れが取れる」(村井純子看護師)と、スタッフにも思わぬ影響があった。
 症状を和らげるだけで、治せるわけではないが、手法を覚えた家族からは「意識はなくても何かしてあげられることがうれしい」といった声が聞かれる。家族間のコミュニケーションの手段や、ストレスケアとしての可能性も期待できそうだ。
 日本スウェーデン福祉研究所の連絡先はフリーダイヤル(0120)294019。 (2008/02/19)

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