「連携で支える-5」
専門職が対等の立場で
医療と介護、情報を共有
 名古屋市東区の小池忠夫さん(90)が大腸がんの手術を受けたのは7年前。その後も病院と縁が切れなかったが、体力の衰えで昨年から通院できなくなった。今は、足腰が弱った認知症の妻(83)と、居間に並べたベッドで、ほぼ1日横になっている。
 夫婦2人暮らしのもとに横浜市から週末ごとに通う長男の会社員、潤(じゅん)さん(59)ら家族の遠距離介護を支えているのは、名古屋市内の「三つ葉在宅クリニック」の船木良真医師(30)と、ケアマネジャーやヘルパーら介護職の連携だ。
 船木医師は訪問のたびに、夫婦の健康状態や処置などを書いた診療録の要約を残す。「情報はギブ・アンド・ギブの精神で」と言う。潤さんが実家に戻った際にまず読むのがこの要約だし、介護職も必ず目を通す。
 ケアマネの五明文子さん(43)は「要約のおかげで関係者全員に的確に伝わる。次回の訪問日時も書いてあるので、時間を合わせてサービスに入れば、その場で先生の判断を求めることもできる」と歓迎する。
 潤さんも「両親を支える専門職の人が共通の認識で連携し、対応がぶれない。家族としては非常に心強い」と喜ぶ。
 船木医師は研修医時代に「家に帰れない」と悲しむ患者を目にして在宅医療の道を決意。北欧などの医療現場を見て回る中で、思いを強くした。
 在宅医療に取り組むからには、24時間態勢でなければ意味がない。そう考え、大学の同級生らを誘って3年前にクリニックを開設。現在は30代の医師5人で患者約300人を支える。
 朝夕の会議で患者情報を共有し、夜間・休日は当番制で対応する。大みそかから元旦にかけて、忠夫さんがもどしたり意識を失ったりした際は、当番医が電話での指示や往診に当たった。
 在宅医療には医師、看護師だけでなく、医療と福祉をつなぐケアマネらとの連携が欠かせない。ただ、医療知識に乏しい介護職がいるのも事実。
 このため、船木医師はケアマネを対象に名古屋大で月1回研究会を開くなど実力アップも支援する。「在宅医療は医師を頂点とするピラミッド型でなく、同じ理念を持つ専門職が対等でなければ成り立たない」(完) (2008/02/05)

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