高校生にがんの授業
中川恵一准教授が母校で
  がんに対する正しい知識を持ち、将来がんになっても適切な診療を選択できるようにと、東京大病院放射線科の中川恵一准教授が1月15日、母校の私立暁星高校(東京都千代田区)で特別授業を行った。
 「日本では2人に1人ががんになり、3人に1人がそれで死ぬ。君たちの世代はもっと多いだろう」「がんの半分は治る時代になった。何も知らないことは、君たちの人生のマイナスになる」「がん治療は手術という日本の常識は、世界の非常識。米国で66%の患者が受けている放射線治療を、日本では25%しか受けていない」
 がん発生の仕組みから治療法まで、中川准教授は分かりやすく説明する。テンポよく進む講義に、2年生全員と3年生の希望者の計約180人は聞き入っていた。
 特別授業のきっかけは、中川准教授と小学校から高校まで同窓で、現在は同校で化学を教える大江和弘教諭だった。「たばこを吸う若者が多い。第一線の医師として、喫煙の害やがんについて話してもらえないか」
 市民向けや専門家向けの講演会には慣れた中川准教授も、未成年相手は初めて。「小学校でも英語を教えているが、大人になって英語を必要とする人より、がんになる人の方が、はるかに多い」と、若者への啓発を快諾した。
 授業では、昨年12月に出版し事前に配ってあった「がんのひみつ」(朝日出版社、714円)をテキストに使用。読んだ感想のアンケートによると、知らなかったことで多かったのは「2人に1人ががんに」と「『がん大国』なのに対策は後進国」、もっと知りたいことは「がんの予防法」だった。
 暁星高は生徒の3分の1から4分の1が医学部希望という進学校だ。国立の医大への推薦入学が決まったという3年生は授業後「がんは死と直結するというイメージだったが、授業と本で大きく変わった」、文系志望の2年生は「もしがんになったら、しっかり病気に向き合いたい」と述べ、がんへの関心が高まっている様子がうかがえた。
 中川准教授は「みんな真剣に聞いてくれた。将来がんになっても、今日の話を思い出して、いい治療を受けると思う」と話した。 (2008/01/29)

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