女性の一生に添う助産師に
産科医の負担軽減も
  産科医不足が深刻な今、助産師はもっと役割を果たせるのではないか―。2008八年4月から、大卒の看護師を対象にした1年間の助産学専攻科を新設する和歌山県立医大。進学を希望している保健看護学部4年の佐野聡美さん(22)は「あれほどやりがいのある仕事はない」と意欲的だ。
 助産所の実習で話を聞き「産む瞬間だけじゃなく、女性のライフステージすべてにかかわれるのが魅力」と決意した佐野さん。交換留学でタイを訪れ、エイズで亡くなる子供にも直面した。「助産師としてできる活動の場を広げたい」と話す。
 同級生の宮本杏奈さん(22)も専攻科を希望する。「あるお母さんが『助産師さんの名前と、言われたことは一生忘れない』と話していた。お父さんへの指導も必要で、新しい家族をサポートするってすてきだと思う」
 専攻科設立に尽力した同学部の池内佳子教授には「プロ意識をもった、自立した助産師を育てたい」という強い思いがある。本来、助産師は正常分娩(ぶんべん)を扱えるが「病院での出産が増え、正常でも産科医が立ち会うのが普通になると『医師がいないと働けない』と考える人が出てきた」からだ。
 もともと和歌山は、特に県南部で開業助産師が活躍してきた土地柄。しかし高齢などで休業も増え、県の調査では3年後には14人が不足する見込み。日本助産師会和歌山県支部の神谷和世支部長は「実習を積極的に受け入れ、後輩を育てたい」と協力を惜しまない。
 「正常分娩を助産師が扱い、異常分娩を医師が診れば、厳しい職場でも負担を軽減できるはず」と佐野さん。厚生労働省も「現状は産科医の無駄遣い」(看護課)と、院内助産所や助産師外来の設置を進めたい考えだ。
 池内教授は「医師の中には、最後に責任を投げられるのを嫌う声もある。うまく医師と連携するには、異常かどうか素早く判断ができる知識が重要だ」と話している。 (2008/01/15)

トップページへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2008 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved