地域医療の価値を形にして
岐阜・金山病院の須原医師
 医師不足対策として、へき地で勤務した医師の経験を高く評価する制度をつくるよう岐阜県に提案した、下呂市立金山病院の須原貴志副院長(47)に話を聴いた。
 ―国や各自治体も医師確保策を示しているが。
 「医学は日進月歩で、数年前の知識や技術が時代遅れになっていくことを見落としている。診療が取り残されるのは医師にとっても地域にとってもよくない。これまでの対策は給料などその場限りの優遇が多いが、若い医師が求めるのは開かれた将来。1度地域に行ったらそれっきり、とならない価値が必要だ」
 ―県に提案した「地域総合診療認定医」とは。
 「一定期間の地域病院赴任で身に付けた総合的な診療力に資格を与え、赴任終了後も将来にわたって人事や税制面で優遇する。これまで専門志向の強い学会では重視されていなかったが、地域病院で身に付く総合的な診療力はもっと評価されるべきだ。地域への赴任が将来のキャリアとなれば、医師にとって選択肢の1つになる」
 ―総合的診療力とは。
 「地域ではどんな救急患者でも断ることはできず、限られた設備と人員で患者の生命を維持できるだけの技術と判断力が求められる。さまざまな患者を診る中で、専門以外の重大な疾患を見逃さない力量も付く」
 「国が始めた新臨床研修制度も総合的な診療力を目指しており、過重労働にならないよう配慮されつつ設備の整った施設でさまざまな疾患を研修するが、医師としての責任を持たされず受け身で終わってしまう人もいる。以前の制度では研修医も責任を持ち、地域病院に派遣されれば、救急車の音に震えながら先輩医師の支援はあっても自力で貪欲(どんよく)に勉強してきた。国が制度を変えてまで実現を目指したものは、既に地域医療の中に真剣勝負の形で存在していた」
 ―認定だけで地域に行く医師が増えるのか。
 「資格をつくった上で、地域と都市の間で人事交流させる制度が必要だ。若い医師にメリットがあると説得するにしても、数年間の約束でなければ難しい」
 ―認定の基準は。
 「数年間の赴任を要件とし、指導医が診療経験を、自治体の首長が地域貢献度を証明し推薦書を出す。資格は県知事が認定する。幸い、岐阜県は地域医療の充実を目的に寄付講座や研究所を創設しているので、そこで具体的な認定基準などを研究していけば、一つのモデルを全国に発することができると思う」 (2008/01/15)

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