透析の中止、縮小相次ぐ
報酬減や医師不足が影響
  慢性腎不全などの患者が受ける人工透析を中止、縮小する医療機関が相次いでいる。患者らでつくる全国腎臓病協議会(全腎協)の調査では、透析の診療報酬が実質的に引き下げられた2006年4月以降、全国約4000施設のうち少なくとも61施設が治療を中止、または縮小していた。採算悪化と医師不足を理由に挙げた医療機関が多い。
 厚生労働省は「新たに透析を始める医療機関もあり全体では減っていない」とする。だが、近くに透析施設がなくなり、患者が遠くまで通わなければならなくなった地域もある。全腎協は「このままの状況が続けば、いずれ『透析難民』が発生する」と心配している。
 透析患者は約26万人。原則週3日の透析が欠かせない。06年は約7000人増加するなど増え続けている。平均年齢は64歳で高齢化が進んでおり、医療費増の一因との指摘もある。
 外来透析の夜間・休日加算を4割下げた診療報酬改定の影響を懸念した全腎協が都道府県組織を通じて調べたところ、07年1月までに21施設が透析を中止、40施設が「夜間透析を中止または縮小」していた。
 厚労省の中央社会保険医療協議会が07年7―8月に実施した調査でも、夜間透析を実施していた医療機関の約13%が夜間対応を廃止か縮小するなど影響が出ていることが分かった。  流れは今も続いている。愛媛県新居浜市の愛媛労災病院は、07年末で透析を休止。担当医2人が派遣元の大学人事で同病院を離れ、後任を確保出来なかったためだ。
 透析患者120人を抱える東京都府中市の府中腎クリニックは、採算が取れなくなったため11月から夜間透析を週3日に。
 透析縮小の一因となっている医師不足は、透析医療自体が原因になっている側面もある。透析中の患者の異常に備えて常に一定数のスタッフが必要なため、医師は休みを取りにくく、若手の希望者が少ないからだ。
 日本透析医会の杉崎弘章専務理事は「特に地方では医師不足で、透析をやめる病院が増加している。(若い患者より手助けが必要な)高齢患者が増えると、スタッフの仕事も増す。医師を養成しないと治療が間に合わなくなる」と、国の医師不足対策の充実を求めている。 (2008/01/08)

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