『脳をはぐくむ 5』

太陽と一緒の生活を 
瀬川昌也院長

 

 ―これまで、いろいろな症例を見てこられたと思いますが

 「夜の三時ごろから昼ごろまで寝て、夜に〝昼寝〟をする2歳7カ月の男の子がいまし た。症状は軽い自閉症。母親が風呂屋さんで働いていて、その生活リズムに合わせて こうなったんです。お姉さんと弟がいましたが、こちらは正常。姉弟は生まれてすぐおば あさんが育て、この子だけお母さんが育てたんです」

 ―治療は?

 「一生懸命、睡眠覚醒(かくせい )リズムを付けて、小学校低学年から何とかうまくい きました。一家はその後、海辺に引っ越しました。この子はさんさんたる太陽の下、砂浜 を走ったりして元気に育ち、今は立派な社会人。2歳で受診したから良かったんです」

 ―ほかに印象的なケースはありますか

 「5歳近くで来た、自閉症の子がいました。神経性食思不振症もあったのですが、まるまる太っている。昼はまったく食べないけれど、夜、枕元に置いた弁当を食べるんです。この子は父親の転勤で、生後4カ月すぎで時差が7時間もあるヨハネスブルクに引っ越し、リズムをおかしくしたんです。3歳で帰国したのですが、すっかりリズムが狂ってしまった」

 ―海外旅行も要注意?

「眠りが完成した大人なら、時差ぼけもしばらくすれば治りますが、発達途上の子供では注意する必要があります」

 ―子育て中の親御さんへの助言は

「地球に生まれた以上、お日さまと一緒に生活しよう、ということです。親御さん、特に お父さんの生活リズムが崩れた場合でも、そのリズムに合わせないで、昼夜のリズムに 合わせましょう。深夜に帰宅して朝早く出掛ける場合、夜は寝顔を見るだけにして、朝、 遊んであげてください」(完)

 


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