吸入ステロイドの利用を
ぜんそく治療で専門医


  世界的に増加傾向にあるぜんそく。特に日本では、発作による学校や会社の欠席や入院日数が欧米より多くなっている。厚生労働省の研究班でぜんそく予防・管理ガイドライン作成に当たった牧野荘平(まきの・そうへい)・独協医大名誉教授は「経口薬による治療では発作防止は不十分。吸入ステロイドによるコントロールが必要」と訴えている。
 気管支や気管が炎症で狭くなり、呼吸困難になるぜんそくは、ダニやホコリなどのアレルギーやストレスに反応して起きるが、増加の背景には、環境汚染やストレス増加の影響があるとされる。

 低い使用率
 治療の進歩で死亡率は減少しているが、それでも国内では高齢者を中心に、年間3000人以上の命を奪っている。慢性ぜんそく治療では世界的に、炎症を抑え発作を予防する吸入ステロイドが第一選択薬となっている。
 しかし日本ではこの使用率が低い。1999年に欧州で行われた調査では、患者の吸入ステロイド使用率は成人、小児とも20%強に達しているが、2001年の国内調査では成人で12%、小児では5%にとどまる。
 だが同年から約3年間、国内539施設で製薬会社グラクソ・スミスクラインが実施した大規模調査では、吸入ステロイドが日本人にも効果的なことがくっきり浮かび上がった。

 ▽発作が半減
 調査は従来の治療薬に吸入ステロイドを加える形で実施。その前後各半年間の発作を比べた。
 分析できた898人でみると、ぜんそく発作の経験者は62・9%に当たる565人から、ステロイド吸入後は24・9%、224人に減少。内訳では入院が10・0%から1・7%へ、救急治療を受けた人が21・9%から2・9%、欠勤・欠席が43・8%から12・6%へと急減した。
 小児(百七十九人)だけでみても、発作は79・3%から36・9%に減少。副作用の発生率は1・9%で、声のしわがれや口内炎など、軽いものばかりだったという。
 これが日本で普及しない原因には、根強いステロイド不信がある。臨床医でもある同社の植地泰之(うえち・やすゆき)開発本部副本部長は「ステロイドといっても経口薬の五ミリグラム、注射薬の五百―千ミリグラムに対し、吸入薬は四百マイクログラム。しかも血中に移行するのはその数%。過度に恐れることはない。発作を起こすと、かえって治療で強いステロイドを使うことになる」と指摘している。


 


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