| この春、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)の理事長を退官した佐々木康人さんが、東京で「がん医療よろず相談外来」を開設した。最先端の重粒子治療センターを持つ大組織のトップから、開業医に。その理由や抱負を聞いた。
―医療現場に戻った理由を聞かせてください。
「なりたくて医師になったのに、偉くなると現場がなくなってしまった。医師の原点は開業医と思っていたので、放医研を離れたら、できるだけ原点に戻れないかと思っていた。幸いそれが実現したということです」
―なぜ「相談」なのですか。
「しばらく現場を離れていたので、自分でできることを考えた。医療相談や人間ドックの説明なら、経験を生かして専門医の紹介もできる。それなら患者さんのお役に立てるだろうと。分野によっては、医師と患者さんや家族との接点がなくなっている気がしていたこともあります」
―患者との対話が減ったということですか。
「今は医師が患者さんとゆっくり話せない状況で、患者さんは不満や不安があると思う。それが医師、患者間の不信感を増すことになっているのでは。少なくと も、決して患者さんに良いことではない。制度上の問題とかで今の医療現場でできないことが、多少できるかなと思っています」
―先生の専門は。
「核医学で、陽電子断層撮影(PET)など、放射性同位元素を利用して体に目印を付け、診断や治療をする分野です。がんだけではなく、いろいろな病気が対象になります」
―相談にみえる方は。
「今日は2人の相談を受けました。1人は健康な60代の方。3年前に下血があったが、忙しくて受診する時間がなかったという人。1人はがん患者さんでセカンドオピニオンの話をしました」
―アドバイスは。
「がん患者さんは手術後に再発。元気だが体のあちこちに痛みがある。『あきらめてました』と言うので『そんなに進行していないので、まだやることはいっぱいある』と話すと、急に明るい顔になりました。ささいなことでも気軽に相談してください」
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ささき・やすひと 37年東京生まれ。東京大医学部卒。東大医学部教授(放射線科)、放医研理事長を経て、がん免疫細胞療法の「瀬田クリニック」(東京都世田谷区)で相談外来を開いた。相談は毎週金曜日。連絡先は電話03(3708)0086。
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