心臓突然死の遺伝子発見
検査で予測が可能に

 心臓には「洞結節」と呼ばれる部分があり、心筋を収縮させて規則正しい拍動を生み出すために電気信号を送っている。
 この働きをつかさどっている遺伝子「HCN4」に不具合が生じると、拍動に乱れが出て、ペースメーカーの装着が必要になると考えられていたが、それだけにとどまらず、HCN4遺伝子に異常があると、致死的な不整脈である心室細動の原因になることが、東京医科歯科大難治疾患研究所、木村彰方(きむらあきのり)教授(分子病態)と平岡昌和(ひらおかまさやす)名誉教授(循環器病)らのグループによって明らかになった。

▽HCN4遺伝子
 心臓突然死に関しては最近、「ブルガダ症候群」と呼ばれる心電図に共通する特徴がある人たちがいることが分かっている。
 今回、HCN4遺伝子を調べることで、ブルガダ症候群とは異なった突然死の可能性を予測できることになり、今後の対策に役立つことが期待されている。
 同グループの上田和雄(うえだかずお)研究員(分子病態)は「スポーツ中に起こる突然死で、心室細動の存在が知られるようになったが、循環器に関連する学会では1990年代半ばから、遺伝子異常によって数種類の致死性不整脈が起こると報告されるようになっていた」と指摘する。
 同グループが、種々の不整脈を持つ患者約100人を対象にHCN4遺伝子を調べた結果、心室細動で倒れながらも、救命活動が間に合って助かった人にHCN4の遺伝子配列に異常が発見された。
 
▽適切な治療を見極める
 HCN4遺伝子の異常により、洞結節の機能の不具合だけでなく、心室細動も起こしやすく、突然死に結び付くことが分かってきたため、米国の専門誌「米国生化学分子生物学会雑誌」に報告した。
 「HCN4の異常と分かれば、薬の使い方も変わってくる。『ナトリウムチャンネルブロッカー』という治療薬が効果がありそうだ。この薬は、ブルガダ症候群では逆に不整脈が出やすくなるので避けなければならない」と上田研究員。
 「重症の不整脈を起こすと、突然死してしまうことが多いため、心臓の事故を起こす前に遺伝子異常を見つけ、適切な治療を見極める事が重要」と話している。
 今後、同グループは全国で20万人前後とされるペースメーカー利用者を対象に、遺伝子検査を実施し、遺伝子異常を事前に見つけ出す作業やHCN4の機能異常を是正する方法の開発を進めていくことにしている。

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