『脳をはぐくむ 3』

仕上げは集団生活 
瀬川昌也院長

 

 ―睡眠覚醒(かくせい)リズムが完成する最終段階はどのようものでしょう

 「睡眠覚醒リズムと体温や脈拍などを調整する自律神経のリズムが同調します。例えば、明け方が低く、夕方が高いという体温のリズムは、四、五歳まで昼夜の区別がある生活を続けることで完成します。だからお日さまと一緒の生活が重要。朝ちゃんと起きて、昼はよく遊ぶ。そうすれば夜はよく眠れる。成長ホルモンなどの分泌も良くなります。もう一つ重要なことがあります」

 ―それは何でしょう

 「このころ、幼稚園で集団生活をするようになるでしょう。そこで保母さんに褒められ、しかられ、友達と仲良く遊び、けんかすることです。そうしたことで、学習能力や社会性がはぐくまれる。例えば、人の気持ちが分かるとか、そういう人間ならではの能力を処理する神経のプログラムが活動しだします」

 ―脳の発達にはこうした手順が必要になる

 「そうです。このタイミングを逃すと一生できません。そうなると、全部の脳を総合して使えなくなる。知的な面はもちろん、知的レベルに応じた精神、情緒、理性面の働きがなくなります」

 ―最近問題のキレる子供や不登校との関係は

 「非常に関係しています。眠りを制御するアミン系神経系に生まれつき障害がある自閉症やダウン症などの子供の研究で分かってきました。睡眠覚醒リズムの障害は、長じて強迫観念が生じたり、強迫神経症をもたらす恐れがあります。また、体温のリズムと同調しないと不登校の要因になります。睡眠覚醒リズムを乱せば、脳を駄目にしてしまうこともあるのです。乳幼児期に昼夜の区別にあったリズムを確立することは、彼らの将来の健康を約束することなのです」

 


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