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難治性に有効で安全 あきらめないで |
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てんかんは、脳の神経細胞が過剰に興奮するために起こる慢性の脳疾患で反復して起こる発作が特徴だ。原因も症状もさまざまだが、7-8割は薬で止まる。残りが薬剤抵抗性、あるいは難治性のてんかんと呼ばれる。 東大医学部脳神経外科の川合謙介(かわいけんすけ)講師は「〝薬をのんでも効かない〟と、治療をあきらめている人がかなりいる。難治性てんかんの多くは、手術による治療で安全に治せるのだが、そのことが患者さんにも十分に伝わっていない」と話す。 ▽見直された手術 ![]() てんかんの治療は1980年代、特にビデオ録画により、患者の発作の状態が脳波の動きとともに把握できるようになって進歩した。 それと並行して、欧米でてんかん手術の有効性も見直され始めた。てんかんが脳神経の電気的なメカニズムで起こることが科学的に分かってきたためだ。 てんかんは、〝暴走〟が起きている脳の場所(「焦点」と呼ぶ)の分布、あるいは病因や発作の症状で分類される 「焦点の切除で良い効果が得られることが知られているのが側頭葉てんかん。側頭葉の神経細胞が部分的に異常な興奮を起こすもので、口をもごもごさせたり、衣服をまさぐるなどの症状が特徴。おとなしい発作だが、発作中には意識がないので、料理していたり、運転をしていたりするとやけどや交通事故などの危険がある」と同講師。 ▽子供の発作 側頭葉てんかんは回数も少なく、周りの人は、てんかんの発作と思わないことが多いという。 これに対し、前頭葉てんかんは頻度が高い。叫び声が出たり、体の動きも激しいことが多く、よくヒステリーと間違われる。 「通常、てんかんは全身がけいれんするイメージだが、それは脳全体に興奮が広がった大発作の場合で、てんかんの症状はさまざま」(同講師) てんかんの薬物治療では、タイプによって薬が全く異なるため、きっちりした診断が必要だ。薬が違うと、逆に発作が増えることもある。 また、1種類だけでは発作が増えることも多く、何種類も服用することもある。それでも止まらない場合、手術を考えた方がよいという。 川合講師は「特に子供の場合、発作が頻繁に起きていると、脳の発達が妨げられる恐れがあり、子供の難治性てんかんは早めに手術を考えた方がよい」と指摘する。 ▽もっと早ければ ![]() 焦点が広く、脳全体に広がってしまう発作では、脳梁(のうりょう)を切断する。左右の脳を切り離し、異常な興奮が共鳴して広がるのを防ぐと、激しく倒れる危険な発作は90%止まる。しかし、根治手術ではないので部分発作が残る。 「焦点が判明しても、その部分の神経細胞の働きがはっきりとしている場所では切除できない場合がある。その場合は、軟膜下皮質多切除(MST)という方法で脳に刻みを入れて共鳴の拡大を防ぐ」(同講師) 側頭葉てんかんで手術を受けた中年の女性患者の場合、月に1回程度、ぼーっとしてしまう発作があり、その間、意識を失うため、けがややけどをしていた。 診断で、片側の側頭葉内側にある海馬の硬化症が原因と判明。手術で切除すると完全に発作が止まり、女性は「これだけ生活が変わるのなら、もっと早く手術すればよかった」と話していたという。 川合講師は「難治性てんかんでは、焦点が複雑か、広がっていることも多いが、手術で発作が完全に止まり、薬をやめられることもある」と話している。 |