健康食品にも深刻な副作用
中毒研究者が警鐘
内外の論文、分析し出版
  健康食品を摂取した後に肝不全や腎不全になったり、女性が妊娠中に飲んで赤ちゃんに障害が出たりするなどの深刻な健康被害の事例を、内藤裕史筑波大名誉教授が「健康食品・中毒百科」(丸善、2940円)として出版した。
 「医薬品は副作用があるのが当たり前だと一般の人も知っているが、健康食品の副作用には気付いていない」と内藤名誉教授。本は国内外の1000を超す学術論文からまとめてあり、医師や薬剤師らの関心を呼んでいる。
 
▽因果関係あり
 内藤名誉教授は1981年、有害物質の誤飲などの相談に応じる日本初の中毒センターを筑波大に設置。86年に発足した財団法人「日本中毒情報センター」設立にも尽力し、長年中毒の研究に取り組んできた。
 90年代後半、中毒物質の情報をまとめた本の改訂のため論文を収集している際に、健康食品や漢方薬による深刻な健康被害が多いのに気付いた。論文に医師が「健康食品で被害が起きるとは知らなかった」と書いているのも驚きだった。
 「百科」は計1085本の論文を引用。登場するのは植物だけでも172種類に上る。内藤名誉教授は「個別のケースで因果関係を証明するのは不可能に近いが、多くの論文を検討することによって、因果関係の確かさが見えてくる」と強調する。
 
▽10の注意点
 論文の分析から内藤名誉教授は、健康食品を取る際に注意すべき10項目を挙げる。
 肝硬変で通院し、症状が安定していた女性は、粉末のウコンを毎日スプーン1杯飲み始めて2週間後に症状が悪化、3カ月後に死亡した。  自宅付近で採ったドクダミをせんじて毎日お茶代わりに飲み、重症の皮膚病になった男性。ドクダミを分析すると、光線に対する過敏症を起こす物質が含まれていた。
 こうした論文から「天然、自然のものだから安全と思い込むのは間違い」と指摘する。
 長年にわたって親しまれてきた飲食物でも、特定の成分を抽出した錠剤や、添加物が原因となった被害がある。「食べ方、飲み方には、それぞれ細かいしきたりがある。本来は根だけを使っていたのに、葉などほかの部分が混ざる製法を取り入れるなど、伝統を無視した方法では、全く違うものになるからではないか」と内藤名誉教授。
 「健康食品は偏って、長期間、大量に取ると被害につながる」と強調。ほかに、漢方薬に鉛が含まれていたケースなど、表示されていないものが入っている可能性があったり、テレビ番組で紹介されたもので視聴者が下痢をした例があったりしたように、うのみにするのは危険、などの点を指摘する。
 
▽副作用理解を
 健康食品やサプリメントのうち、内藤名誉教授が必要量、有効性、安全性についての科学的根拠があるとするのは、12種類のビタミンと5種類のミネラル(亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅)の「栄養機能食品」だけだ。  比較的安全と思われがちな漢方薬は「効き目が穏やかだが、副作用も長期間ゆっくり出ることに注意が必要」と言う。
 「健康食品は、バランスの取れた健全な食生活に代わるものではない。副作用は誰にでも起きる可能性があり、それを理解した上で慎重に取るべきだ」と内藤名誉教授は話す。(共同通信 美浦敬) (2007/12/25)

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