「連携で支える-1」
退院のイメージを共有
専門部署で取り組む
 京都市左京区にある京大病院の病棟。神経内科のナースステーションで11月下旬、医師や看護師、理学療法士らが集まり、退院に向けた会議が始まった。病状や家族状況、リハビリテーションの様子などを担当者が説明していく。
 患者は市内に住む66歳の男性。春ごろから足がもつれて転ぶことが増え、両手の指も動かしにくくなるなど徐々に悪化したため、約1週間前に入院していた。だが、神経難病と分かり、退院後も在宅での長期の療養生活が必要になったからだ。
 実際の退院までには、さらに患者の家族やケアマネジャーも含めた会議が何回も続く。退院支援のための専門部署として設けられた地域ネットワーク医療部 の看護師、宇都宮宏子さんは「早い段階から病院と患者や家族が、退院のイメージを共有することが重要」と強調した。
 このため、同病院の退院計画は入院時から始まる。支援が必要な患者を早期に把握するため、まず病棟で「1人暮らしか高齢夫婦か」「薬を飲み忘れた経験はないか」「介護者が同居しているか」などを患者、家族から聞き取る。
 退院支援が必要となれば、病棟の受け持ち看護師を中心とするチームが看護計画の中で取り組み、これを宇都宮さんらが支援する仕組みだ。
 地域ネットワーク医療部は七年前発足、医師や看護師、ソーシャルワーカーで構成される。中心となっている宇都宮さんは別の病院で訪問看護に携わっていた経験を買われ「退院調整看護師」として招かれた。在宅医療への移行支援には、在宅ケアや訪問看護の知識が不可欠という。
 その経験は、退院後を見越して院内でも点滴で投与していた薬を内服薬に変えたり、医療器具も在宅で使えるように切り替えたりする工夫に生かされている。昨年度は約340人の在宅医療への移行を支援した。
 近くで在宅医療に取り組み、京大病院から患者の紹介を受けることが多い川村クリニックの川村治雄院長は「患者や家族の思いを受け止め、病院から見捨てられたと思わせないことが大切。退院支援は大きな効果をあげている」と話している。 (2007/12/25)

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