「どうなる外国人介護士―1」
フィリピンに熱い視線
特養施設長らが視察
 10月中旬、全国から集まった特別養護老人ホームの施設長ら約20人が、フィリピン人介護士の養成校などを視察するフィリピン旅行に参加した。目的は将来の雇用。深刻な介護業界の人手不足解消の切り札として「海外からの助っ人」に熱い視線が注がれる。
 愛知県の有料老人ホーム社長は、職員が集まらないため入居を断った経験もあり、フィリピン人を雇いたいと参加。
 埼玉県の特養ホーム理事長も「3カ月募集広告を出したが、応募は1件もなく、人が集まらなければ事業を縮小しなければならない。これまで雇った(配偶者が日本人の)外国人の中では、フィリピン人が優しいと一番評判が良かった」と期待する。
 「人手不足は地方でも深刻」と北海道や九州の事業者。外国人に頼らざるを得ない切羽詰まった状況はどこも同じだ。
 業界の人手不足は深刻さを増す。介護関連職の有効求人倍率は2004年度の1.14倍から06年度には1.74倍に上昇。心身ともに負担が重いにもかかわらず、待遇面で恵まれないことなどが要因だ。
 こうした中、政府は昨年9月にフィリピンの介護士と看護師の受け入れを盛り込んだ経済連携協定を同国との間で締結。外国人労働者への門戸を広げた。
 しかし、介護業界内には「政府が本気で外国からの介護士や看護師を受け入れるつもりはない」との冷めた見方もある。
 日本で働き続けるためには、日本語の国家試験に合格しなければならないなど「日本で働けないようにする協定」と指摘されるほど、高いハードルが設定されているためだ。
 協定はフィリピン国会が批准していないため、まだ発効していないが、「興行ビザでの入国と同じように、高い報酬を求め介護職から飲食店でのホステスなどに流れていく」(介護事業者)懸念も消えない。
 日本人の雇用が脅かされ労働条件の悪化につながりかねないとして、外国人労働者の受け入れには反対も根強くある。
 ただ団塊の世代の高齢化で、今後介護需要が増大するのは確実。国内に人がいなければ海外に人を求めざるを得ない。多様なスタッフが働くことによる質の向上を期待する前向きな意見もある。「国籍ではなく人でみる」目線も必要になりそうだ。 (2007/11/27)

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