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凝固因子の定期補充療法 幼児期から注射 |
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生まれつき出血しやすい血友病の治療が変わりつつある。不足したり欠けたりしている血液凝固因子の製剤を、出血した時だけ注射するのではなく、幼児期から定期的に注射して関節障害を防ごうという定期補充療法の導入だ。スウェーデンでは半世紀前から行われていたが、8月に臨床研究で有効性を確認したと米チームが報告、注目を集めている。 ▽残された課題
血友病は男性だけが発症する遺伝性の病気。国内には、血液を固めるのに必要な第8因子が欠乏した血友病Aの患者が約4100人、同じく第9因子欠乏の血友病Bの患者が約900人いる。出血すると命にかかわる場合もあり、止血のためには速やかに凝固因子製剤を投与しなければならない。汚染された製剤によりエイズウイルスやC型肝炎ウイルスに感染する悲劇も起きた。 製剤の安全性が高まり、ウイルス感染の恐れが減ったいま「残された課題の1つが、関節障害の防止」と聖マリアンナ医大横浜市西部病院(横浜市旭区)小児科の滝正志・准教授は説明する。 患者は筋肉や内臓など体のあらゆる部位に出血する危険性があり、凝固因子が通常の1%未満の重症患者の半数以上は年間20回以上、患者によっては100回以上も出血しているという。 特に関節は、本人も気付かないうちに出血し、関節を構成する滑膜が炎症を起こす。これを繰り返すうちに軟骨が破壊され「関節リウマチのように関節が変形して機能を失い、人工関節の手術が必要になることもある」と滝准教授。 ▽発症前に開始
関節障害を防ぐために考案されたのが定期補充療法。1958年に始めたスウェーデンの方法は、重症患者を対象に、体重1キロ当たり25―40単位の製剤を血友病Aは週3回、Bでは週2回投与する。投与開始は、1度も関節出血を起こしたことがないか1、2回の出血後で、通常は1、2歳からとなる。関節障害の発症前に投与を始める「一次定期補充療法」が大切で、発症後に開始する「二次定期補充療法」では関節障害の進行を阻止できないと報告されている。 同様の手法は欧米や日本でも試みられた。だが「受ける患者と受けない患者を事前に無作為に分けた研究でないため、エビデンス(科学的根拠)に欠けた」(滝准教授)ことから、標準治療にはなっていなかった。 その流れを変える可能性がある論文が8月、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。 ▽予想通り
米国内の15施設で、患者65人を無作為に分けた研究「JOS」を実施。幼児期からの投与に、関節出血と関節障害を予防する効果が確認されたというのだ。滝准教授は「予想通りだった。JOSの結果が出たことで、この治療法を行う施設が国内外で増えてくると思われる」と言う。 滝准教授も99年から、11人の重症患者(中央値1歳7カ月)に一次定期補充療法を実施。関節出血は年間平均0.6回、関節以外の出血は3.6回だった。受けていない患者はそれぞれ13.6回、13.1回で、有効性を示す結果が得られた。 一方で課題もある。幼児への注射が難しい。大人になっても投与を続けるのか、製剤の効果を失わせる抗体(インヒビター)の発生頻度は―。最適な手法を探るため、滝准教授らは日本小児血液学会血友病委員会で研究を進めている。(共同通信 影井広美) (2007/11/27) +font> |