「進んだ技術-4」
家に帰って明るさ取り戻す
中心静脈カテーテルで
 「訪問診療や訪問看護っていいですね。身内みたいで。人間らしく接してもらえる」と、さいたま市南区の馬越静江さん(59)はしみじみと話す。骨髄のがんで入退院を繰り返したが、今年7月から頼んだ近くのハーモニークリニック(中根晴幸院長)による在宅医療で、表情にも明るさを取り戻した。
 4年前、背中に強烈な痛みが走って動けなくなった。特殊ながんのため、何カ所も病院を回って診断がつくまで2カ月。それから抗がん剤治療が始まった。長期や短期の入院であらゆる方法を試み、副作用でいつも意識がもうろうとした状態が続いたという。
 在宅医療に切り替えたのは「急性期ではなくなったので療養病床に」と促されたのがきっかけ。夫の治さん(62)が「そんなことだったら」と。静江さんも「戻ってきてほっとしました。入院の時と比べると気分ははるかにいい」と笑う。
 現在の療養生活を楽にしている理由の1つは、胸の鎖骨部分から埋め込んだ中心静脈への管(カテーテル)。身体の外にプラスチックのチップが出ていて、そこから点滴の管につなぐ。中根院長が自ら工夫したやり方だ。
 血管が細くて点滴の針が刺せない静江さんにはうってつけだった。当初は危機状態が続いて輸血が必要だったためにつくったが、採血やその後にかかった肺炎の治療でも1カ月に及ぶ抗生物質の点滴で役立っている。
 中根院長は「技術があれば簡単にできるし、安全で患者にやさしい。在宅では衛生管理が大変と思われているが、訪問看護や薬局との連携をつくれば解決でき、栄養から緩和ケアまで内科的な治療の幅が大きく広がる」と話した。
 こうした一つ一つの積み重ねで精神的な余裕が出てきたこともあって、静江さんは「不思議なことに、あの何とも言えないがんの痛みがなくなった」という。入院時の病院で「回復の可能性はほとんどない」と言われた腎臓の機能も、正常値近くまで戻った。
 月に1回程度、クリニックに通院した際に、車いすで買い物に寄るのが楽しみだ。「最近、浦和駅の近くに大型ショッピング施設がオープンしたんです。早く行ってみたい」 (2007/11/03)

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