「進んだ技術-2」
酸素療法で生活取り戻す
重要な呼吸リハビリ
 遠くにレインボーブリッジを望む東京都江東区の豊洲公園。遊び回る子どもたちを避けて、在宅酸素療法を続ける近くの小林靖樹さん(58)がストレッチなどの軽い運動に取り組んでいた。
 キャリーに載せた携帯用の酸素ボンベから延びた管(カニューラ)を鼻に装着して酸素を吸う。「筋力を付ければ、息苦しさを軽くすることができるから」と、約1キロ離れた公園への散歩や運動は日課になっている。
 慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)。肺の組織が破壊されて酸素を取り入れる機能が大幅に低下するため、24時間の酸素吸入が必要だ。自宅では据え置き型の酸素濃縮器を使う。原因の多くはたばこで、小林さんもやめるまではヘビースモーカーだった。
 9年前に別の病気で通院していた時に「肺がおかしい」と指摘された。当時は通勤で地下鉄の階段を上るのが苦しいなと感じる程度だったが、その後、ちょっと歩いただけで息が苦しくなり、突然の呼吸困難で入退院を繰り返したことも何回かあった。
 在宅酸素療法を始めたのは2年前。「カニューラをいつも付けているので煩わしさはあるけれども、慣れれば、それまでよりずっと生活しやすくなった」と話す。
 入浴がおっくうで嫌だったが、いまは毎日でも入れる。歩くのが苦しいので自宅に閉じこもりがちだったが、ゆっくりであれば散歩や買い物にも出掛けられるようになった。
 在宅酸素療法は1985年から健康保険が使えるようになった。患者は全国で約13万人。以前は長期入院を余儀なくされていたため、大きな福音に。機器の小型化や軽量化なども進んでいる。
 ただ、酸素を吸うのは包括的な呼吸リハビリテーションの一環という認識が重要だ。日本医大呼吸ケアクリニックの木田厚瑞(きだ・こうずい)所長は「息切れを回避する呼吸法や筋力トレーニングなどのリハビリで、残された肺の機能を最大限に引き出せば、不自由ながらも日常生活を快適にすることができる」と強調した。
 小林さんも月に1回は同クリニックに通って、運動の仕方や栄養改善の指導を受ける。「この療法がなかったら、寝たきりになっていたかもしれない」と笑った。 (2007/10/23)

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