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「1人で決めないで」 延命中止など相談20件 |
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延命治療中止など医療現場で難しい判断を迫られる医師を支援しようと、熊本大の浅井篤教授(生命倫理学)を中心に、法律や生命倫理の専門家チームが対応を助言する「臨床倫理コンサルテーション
」が始まって10月で丸1年を迎えた。合言葉は「1人で、一度に決めないで」。これまでの取り組みを振り返り、課題を探った。 ▽終末期が大半
「人工呼吸器の中止は倫理的に許されるか」「治療を望まない患者の意思はどこまで尊重するべきか」―。浅井教授によると、9月末までに寄せられた相談は20件。大半は終末期の患者への対応に関するものだった。倫理コンサルは厚生労働省研究班の研究事業の一環として昨年10月に開始。研究事業は今春終了したが、コンサル自体はその後もメンバーが自主的に継続している。 依頼は電子メールやファクスで受け付け、登録されている元判事や弁護士、生命倫理学者、倫理問題に詳しい医師らの中から3―4人がチームを組み対応。患者の詳しい容体などを確認した上で議論し、数日から1週間程度で回答する仕組み。費用は無料という。 依頼の多くは医師個人や所属する診療科からだが、病院の倫理委員会が「議論の参考にしたい」と意見を求めたり、患者の家族が「ほかの家族と考えが一致せず困っている」と相談してきたりしたケースもあった。 ▽法的問題 人工呼吸器の中止に関する相談は20件中3件。うち1件は重い意識障害のある患者で「必ずしも死は迫っていないが、回復の見込みは非常に小さい」状態だった。 「患者の意思が不明確でも、家族の明確な意向があれば許されるか」との相談に対し、専門家チームが出した答えは「呼吸不全や意識障害が改善する可能性が、医学的に無視してよいと判断されるまでは治療を続けるべきだ」。助言を受け治療を続けた結果、患者は呼吸器を取り外せるまでに容体が回復したという。 だが、いつも明快な答えが出るわけではない。 人工呼吸器を使っている難病の患者が「病状が一定程度進んだら外して」と希望しているケースでは意見が分かれた。 「患者が家族と熟慮を重ねた上で拒否している治療を、患者の意思に反して続ける権利も義務も医療従事者にはない」 「現実に呼吸器を取り外すと法的、社会的問題が起きる」 結局、チームとしては「顧問弁護士と十分相談を」と助言するのがやっとだった。 ▽まず悩んで
患者側の立場で議論に参加してきた、というある弁護士メンバーは「医療者だけでなく、複数の視点で話し合う過程が重要。議論を重ねることによってその患者さんにとって妥当なところに行き着く」と感想を話す。助言を受けた医師らからは「自分たちの判断に大きな問題はないと確認できた」「心理的葛藤(かっとう)がかなり解消された」などの感想が寄せられている。中には「今まで当然と思っていた治療に関して、患者にとって有益なのか、倫理的に妥当なのか、と考えるようになった」との声もあった。 医療現場では最近、病院内に倫理的問題を話し合う場をつくる機運も出てきたが、まだ一部に限られているのが現状だ。 浅井教授は「『延命治療は、やるのが当たり前』では、ジレンマも生まれない。患者にとって何が最善なのか、いろんな人の意見を聞きながら悩むことも大切だという意識を医療現場に持ってもらいたい」と話した。(共同通信 若林久展) (2007/10/23) +font> |