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腹膜透析で生活にゆとり 支援体制の充実が課題 |
この年になるとね、血液透析のため1日おきに診療所へ通うこと自体が大変なんですよ」。東京都墨田区の自宅で腹膜透析を続ける小川一郎さん(95)は、穏やかに笑った。
慢性腎不全と診断されたのは10年前。症状は徐々に悪化し、4年前に血液透析を勧められた。だが、血液透析をしていた友人が死亡したこともあって、いいイメージはなかった。「十分生きた。もういい」と渋ったが、「自宅でできるから」と紹介されたのが腹膜透析だった。胃や腸などの内臓を覆っている腹膜は、腎臓の代わりになる「ろ過」機能を持っている。この機能を利用して、腹膜内部にあらかじめ埋め込んだ細い管(カテーテル)に専用の機器で人肌に温めた透析液2リットルを入れ、血中の老廃物や余分な水分を排出する。 これを日に4回繰り返す。1回は約30分ほど。いったん透析液を入れたら管と機器を切り離し、手すりを伝って自力で室内を移動、新聞を読んだり、好きなテレビ番組を見たりして過ごす。 週に3、4回も通って1回に約4時間もかかる血液透析に比べると、ゆったりした日常生活が送れるのが特長だ。1人暮らしだが、独立して別々に暮らす子どもたちと車いすで外食や絵画展、旅行も楽しめる余裕につながっている。 ただ、週1回は近くの野中医院(東京都台東区)に血液透析に通う。野中博院長は「高齢の患者さんの場合、腹膜透析では取りきれなかった老廃物を血液透析で補う併用療法が最適」と話す。腹膜を傷めない透析液の開発も進んでいる。 課題もある。透析患者は現在約26万5千人いるが、このうち腹膜透析の患者は約9千人しかいないため、やり方を熟知した看護師らが少ないことだ。小川さんは訪問看護を利用しているが、当初、引き受けてくれるところは簡単には見つからなかった。 娘の美年子さん(55)は「勉強会で習得した訪問看護ステーションもあったが、担当者が辞めると後が続かない。支えてくれる看護師探しは常に綱渡り。きちんとしたサポート体制があればもっと普及するのでは」と話している。 × × 病気になっても住み慣れた家や地域で、自分らしく暮らしたい。できれば最期も迎えたい。そんな患者の思いを支える在宅医療の「いま」を追った。(2007/10/16) +font> |