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派遣後も「毎日が綱渡り」 大分・竹田市 |
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全国で深刻な問題となっている医師不足。産科・小児科の休診や、救急受け入れ拒否。公的病院の閉鎖も相次ぎ、住民の不安は大きい。地域医療の崩壊を食い止めようとさまざまな施策もスタートしている。現場を歩き、課題を探った。 ▽空きベッド
大分市から南西に車で1時間半。熊本、宮崎両県と接する大分県竹田市の竹田医師会病院に8月、日本医大(東京都)から1人の救急医が赴任した。国の「緊急医師派遣制度」が適用された5道県6病院の1つだ。「わたしはただの一医師。地域医療の救世主ではない」。高橋明子医師(34)は控えめに話す一方「地域の医療に貢献したい」と意欲を見せる。これまでも大学医局による派遣で福島県や千葉県の病院に勤務してきた。 竹田医師会病院の宮成治幸事務長は「職員の勉強会で講師もしてもらい、救急医療のノウハウを学べる」と大歓迎だ。 同病院は内科や外科、整形外科、小児科を持ち、隣接市も含め約4万人の住民を支える地域の中核病院。だが5月末までに内科医3人が病院を去り、常勤医が4人だけとなったため、6月に市内唯一の救急指定を返上した。市消防本部によると、同病院の急患受け入れ率は、4月の55%から6―7月は20%台に急落。当直は市内の開業医に週3回、交代で入ってもらう状態だった。 宮成事務長が院内を案内してくれた。計160床のうち36床が使われておらず、6階建ての5階では半分近くの病室が閉鎖状態。「ベッドがあるのに医師や看護師が足りず、患者を受け入れられないのは心苦しい」 ▽1人当直
9月には支援の手がもう1つ加わった。福岡県大牟田市で勤務していた内科の小川浩平医師(42)が「自分も手伝いたい」と家族を連れ竹田市に引っ越してきたのだ。「まだ慣れないことが多く役立っているか不安だが、やりがいはある」常勤医は6人に回復、非常勤医の応援も受け同病院は救急患者の受け入れを可能な限り増やしているが、当直は1人でやらざるを得ない。「患者の容体の判断など責任を1人で背負う精神的負担がある」と高橋医師。 複数の急患を同時に受け入れるのは難しいため、大分市などへ長距離搬送を余儀なくされるケースも増加。9月17日には竹田市消防本部の救急車3台が出払い、約2時間の空白が生じた。幸い新たな出動要請はなかったが「毎日が綱渡りだ」と救急隊員は話す。 ▽即戦力 高橋医師の任期は、6カ月間だけだ。「医局員は100人以上いるが、半数は関連病院に出ている。送り出す側も楽ではない」と日本医大の横田裕行教授。「高橋医師のように経験を積み即戦力になる人材は貴重で、1つの病院にいつまでも、というわけにはいかない」 竹田市医師会の加藤一郎会長は「常勤医を早く確保したい」と話すが、めどは立っていない。「田舎には医師がどんどん少なくなる」。知人を見舞いに来た男性(60)は、ため息をついた。 厚生労働省によると、緊急派遣はほかにも要請があり検討中。担当者は「勤務医の労働環境改善など総合的な対策を講じていきたい」とするが即効性のある処方せんは見つからないのが現状だ。 大分大医学部の吉松博信教授は「研修医が大都市に流れ、地域への重要な派遣元の地方大学の医局入局者が減っている」と指摘。加藤会長は「専門性を身に付けたいのは分かるが、みんなが『ブラック・ジャック』になる必要はない。国は医師が地方に残るシステムを作るべきだ」と訴えた。(共同通信 井上寛厚、若林久展)(2007/10/09) +font> |