厳しい労働、病院を敬遠
深刻な産科や小児科
 日本の医師は約27万人(2004年)。人口10万人当たりでは211人と先進国の中では少ないものの、年間3500―4000人は増加している。ところが近年、へき地の診療所だけでなく、地方の中核的な病院でも勤務医が足りなくなり、診療を中止するケースが増加。その背景として、勤務医の厳しい労働環境や、大学医学部の医師派遣機能の低下などが指摘されている。
 医師不足が特に深刻なのは、産科と小児科。出産や子供の病気は時刻を選ばない上、不測の事態が起きやすく、医師にとって負担は大きい。
 厚生労働白書によると、ここ10年、出生1000人当たりの産婦人科医の数は横ばいだが、出産を実際に扱った施設は26.5%減った。また、小児科医は増えているのに、小児科を掲げる病院が減少。白書はその一因を「不規則な勤務時間や訴訟リスクの高まり」「厳しい労働環境」と分析する。
 へき地や市中病院の医療は、大学の医局から派遣された医師が支えてきた。「過重な勤務に耐えれば、条件のいい病院やポストを医局が用意してくれる」(大学病院の医師)からだ。しかし、04年に新しい臨床研修制度が導入され、大学に残る医師が減ったこともあり、派遣自体が難しくなった。
 その結果、派遣先の病院の医師は減り、他の医師の負担が増大。疲れ切った医師は、開業や、他病院・他診療科への転出を選択し、さらに医師が減るという悪循環に陥っている。
 患者側の問題点も指摘されている。軽い風邪でも、診療所より検査機器の充実した病院を好む「ブランド志向」や、込んだ昼間を避け夜間救急に行く「コンビニ化」。これが医療現場の疲弊を招く一因になっている。 (2007/10/09)

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