NPO法人で遺伝子検査
患者少ない疾患
   さまざまな遺伝性疾患の原因遺伝子が特定され、患者や家族に遺伝学的な情報を提供、意思決定に役立ててもらう遺伝カウンセリングや遺伝子診断が広まってきた。だが、患者数が比較的少ない疾患の検査は、件数が少なく費用もかかるため、民間の検査会社は対象としていない。
 そこで慶応大小児科の医師らは、先天異常の遺伝子検査普及のために特定非営利活動法人(NPO法人)遺伝子診断臨床応用支援機構「」を昨年10月に設立、各地の病院からの依頼に応じ年間約200件の検査をしている。

▽検査可能なのは約50
 担当の小崎健次郎准教授によると、検査可能なのはマルファン症候群、アラジール症候群など生まれる赤ちゃんの数千人から数万人に1人程度という疾患で、現在は約50。家族に病気を理解してもらったり、親子間での生体間移植や発症予防のための薬投与などの治療をしたりするには、病名を確定させる必要がある。原因遺伝子の塩基配列を全部解析すれば診断できるが、時間がかかり、費用が高額だ。
 小崎准教授らは、遺伝子をブロックに分け、変異の有無による性質の違いから変異のあるブロックを特定、それだけを対象に塩基配列を解析する方法で、大半の工程を自動化したシステムを開発した。検査に使うプレートを疾患ごとに用意、費用は1件当たり約10万円と、同様の検査を手掛ける欧州の会社の3分の1で済む。
 公的な研究費でシステムを開発し、各地の病院から年間200件以上検査依頼に応じてきたが「研究期間を終えても診断を必要とする患者がおり、継続的に実施する組織が必要だ」とNPO法人をつくった。
 
▽100に増やすのが目標
 通常は大学の研究室などが依頼を受けた場合、結果が出るまでに半年以上かかる場合もあるが、このNPO法人は3カ月以内に結果を伝えている。診断できる疾患を100に増やすのが当面の目標だ。ただ、これまで学内研究費などで賄っていた費用は、今後は患者に負担してもらうことを検討している。
 小崎准教授は「依頼を受けた相手には、検査の結果をどのように解釈するかなど、できるだけ詳しく伝えている。一般に遺伝子検査で異常が検出できるのは70%前後にとどまるので、検査前に患者にはっきり伝えておくことが大切だ」と話している。(2007/10/02)

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