『アルコール依存症-4(4回続き)』


 教育・治療システムを
樋口進久里浜アルコール症センター副院長

 
 酒を飲まずにはいられず、やめると禁断(離脱)症状が出るアルコール依存症。その病態や治療について、三笠宮寛仁さまの治療にも当たった国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の樋口進・副院長に聞いた。

  ―予備軍への対策は。
 「依存症に至っていなくても、酒癖が悪い、肝機能障害やうつを併発している、などのケースでは、自分に合った飲み方を見つけることが必要です。わたしたちの病院では、まず通院で半年間、アルコールをやめてもらいます。すると食欲がわいて、よく眠れ、断酒の良さが分かってくる。アルコールには健康への効用や人間関係を円滑にする効果はありますが、アルコール量で1日20グラム、ビール中瓶1本程度を目安にしてください。女性は体質的に弱いので、その3分の2に」

 ―依存症治療の課題は何でしょうか。
 「アルコールのいい面と悪い面、そして依存症は治りうる病気だということを、もっと啓発すべきです。また、予備軍へのカウンセリングで、医療従事者が『酒の量を減らしましょうよ』と言うだけでも有効なことは、海外で確認されています。これを保険点数として認め、保健所や職域、かかりつけ医でもやってほしい。予備軍の人を専門病院に紹介するなど医師同士の連携や、患者や家族の相談に応じる人材の育成も重要です」

 ―飲酒は本人だけの問題ではありませんね。
 「2003年の調査を基にした推計では、飲酒した人から暴力や暴言などの迷惑行為を受けたことがある成人は3000万人おり、うち1400万人は深刻な対人関係の問題など、その後の人生に影響するほどの被害を受けています。この点が、もっぱら本人と周囲の健康問題である喫煙との大きな違いです。わたしたちの調査で、飲酒運転の違反歴がある男性ドライバーの半数近くに、依存症の疑いがあることが分かりました。飲酒運転を繰り返している人への教育や治療を、システムとして取り入れる必要があります」(完)(2007/10/02)


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