大人で増える百日ぜき
患者の3割、集団発生も
子どもへの感染に警戒
 激しいせきが長期間続く「百日ぜき」。乳幼児が注意すべき病気の1つで、生後間もない時期からの予防接種の対象になっているが、最近は大人の患者の報告が増えてきた。ことしは全体の3割に上り、大学での集団発生も相次いだ。専門家は「実態を把握し、対策が必要か検討すべきだ」と指摘する。


▽大学休講
 5月中旬、香川大 で医学部の学生に百日ぜきの症状があると判明。症状を訴える学生が相次ぎ、大学は一時休講にした。7月13日に終息宣言を出すまでに、疑いのある学生・教職員は290人に上った。
 大学の保健管理センターには心配した学生が相次いで訪れ、担当の鎌野寛教授らは、必要な場合は医療機関を受診し、抗生物質の投与を受けるよう指導。大学はサークル活動を一時禁止、少しでもせきがある場合は繁華街に出歩かないなどの対処方法を示し、学生に注意を呼び掛けた。
 鎌野教授は「大人の百日ぜきは風邪と見分けがつきにくいので、せきが長引くようなら注意した方がいい」と話す。
 集団発生は大阪府立大、高知大でもあり、休講などの措置が取られた。


▽氷山の一角
  百日ぜきは、百日ぜき菌が原因の感染症。くしゃみなどの飛沫(ひまつ)や接触によって感染が広がる。7―10日の潜伏期の後、風邪のような症状で発熱はなく次第にせきが増える「カタル期」が1―2週間、発作性のせきが出る「痙咳(けいがい)期」が2―3週間続いた後、2、3週間以上の「回復期」に移行する。
 国立感染症研究所 は全国の小児科約3000カ所からの患者数の報告をまとめているが、内科も診察する病院などからは大人の患者数も連絡が来る。百日ぜきの患者数のうち20歳以上は、2000年までは2%程度だったのに、03年は6.9%、05年は13.4%、06年は24.3%と増え、ことしは8月5日現在で30.6%になった。
 「本当に増えているのかもしれないが、大人は典型的な経過をたどらないことも多く、これまでもあったが把握されていなかっただけかもしれない。いずれにしても、小児科からの報告だけなので、氷山の一角にすぎない」と安井良則主任研究官。


▽大人にも接種?
 日本では1950年ごろまでは年間10万人以上が感染、その約10%が死亡していたが、ワクチン接種が始まり感染者は減少。ジフテリア、破傷風との3種混合ワクチンの接種が進んで、94年には、接種開始年齢が2歳から生後3カ月に引き下げられた。現在は8―9割の人が菌への抗体を持っている。
 だが現在でも、予防接種を受けていない乳幼児らが重症になる場合がある。痙咳期に発作が激しくなると、連続的にせき込んで続いて息を吸い込むときに「ヒュー」と笛を吹くような特徴的な音が聞こえる。無呼吸から呼吸停止になることもあり、致死率は0.2%とされる。
 大人は重症化しないとみられているが、米国でも大人の感染者が増えているという。安井主任研究官は「大人から子どもへ感染を広げていることが証明されれば、乳幼児期の予防接種に加え、大人にも予防接種するといった対策を検討する必要があるかもしれない」と指摘する。(2007/9/25)

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