『アルコール依存症-3(4回続き)』


 節酒でなく断酒
樋口進久里浜アルコール症センター副院長

 
 酒を飲まずにはいられず、やめると禁断(離脱)症状が出るアルコール依存症。その病態や治療について、三笠宮寛仁さまの治療にも当たった国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の樋口進・副院長に聞いた。

  ―どのように治療するのですか。
 「節酒ではなく断酒が基本で、飲酒をやめようという強い意志が欠かせません。少しでも飲むと元に戻るので、節酒できる可能性は極めて低く、治療も成功しません。通常は3カ月入院してもらい、1カ月は検査と解毒や離脱症状の治療。後の2カ月で、依存症を客観的に理解してもらう教育と、『酒に対する考え方が正しいかどうか』などのテーマについて少人数のグループで話し合い『断酒しかない』と分かってもらう認知行動療法を行います」

 ―退院後は。
 「立ち直るには、2週間から1カ月に1回の通院、断酒に挑戦している人や成功した人たちでつくる自助グループへの参加、抗酒薬の服用、の3つが重要です。抗酒薬には、アルコールを飲むと気持ちが悪くなる働きがあり、半年から1年続けてもらいます」

 ―周囲はどう対応すればいいのでしょう。
 「本人が現状を直視できるよう、気を付けることです。酒の上の不祥事を家族が尻ぬぐいすると、本人は飲酒を問題だとは思いません。退院後は、通院や自助グループへの参加を促すこと。診療は専門病院で行うべきで、どこに病院があるかなど分からないことがあったら、都道府県や政令指定都市が設置している精神福祉保健センターに相談してください」

 ―勤務先は。
 「会社の役割も大きく、飲酒が原因で欠勤する、酒のにおいがした、肝機能が継続的に悪い、などの兆候をとらえて、治療を受けさせる。家族の言うことは聞かなくても、会社から言えば病院に行くことがあります。人事部門を通さずに外部の医療機関に相談できる従業員援助システムの導入も、検討した方がいいでしょう」 (続)(2007/9/25)


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