『アルコール依存症-2(4回続き)』


 脳が順応、命も左右
樋口進久里浜アルコール症センター副院長

 
 酒を飲まずにはいられず、やめると禁断(離脱)症状が出るアルコール依存症。その病態や治療について、三笠宮寛仁さまの治療にも当たった国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の樋口進・副院長に聞いた。

  ―依存症になりやすいタイプは。
 「酒を飲んでも顔が赤くならず乱れない人。正常タイプのアルコール分解酵素遺伝子を持つ上、脳神経系がアルコールの影響を受けにくい体質で『酒に強い』と言われるタイプです。普段は社会の枠組みの中でうまくやっていても、失職や家庭不和などをきっかけに、やけ酒のような悪い飲み方をすると、依存症になってしまう。暴力的な行動に走る反社会的な人格や、向こう見ずで物珍しがりの性格も、依存症と関係が深いと言われています」

 ―依存症になる過程を教えてください。
 「飲み続けると、だんだんアルコールに強くなり、たくさん飲まないと酔えなくなる。酔っていい気持ちになりたいという『正の強化効果』によって飲酒量が増える。飲み過ぎで二日酔いになるが、迎え酒をすると一時的に楽になるので飲む。これが『負の強化効果』で、飲んでは寝て、起きては飲んでと、数時間おきにアルコールを摂取する連続飲酒になるのが典型的な例です」

 ―禁断(離脱)症状が出る仕組みは。
 「アルコールは脳の神経活動を抑えるように作用し、アルコールが抜けると神経活動は元に戻ります。しかし、アルコールが常に体内にある状態になると、脳がそれでも活動するように順応し、アルコールが抜けた場合、より活発になる。このため手の震えや発汗などの離脱症状が出ます」

 ―連続飲酒の結末は。
 「食事が取れなくなり、数日から1カ月で体を壊します。肝硬変や膵炎(すいえん)、高血圧、認知症などの合併症も出る。最後は酒すら入らなくなって死亡することも、まれではありません。治療して飲酒をやめれば治りうる一方で、生命にかかわる病気でもあるのです」(続)(2007/9/18)


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