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狂犬病で死亡の男性 |
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フィリピンから帰国後に狂犬病を発症して亡くなった横浜市の60代男性の脳を、東京都神経科学総合研究所(東京都府中市)が解析し、脳神経のほぼ全体にウイルスが広がっていたなどとする病理結果をまとめた。 狂犬病は日本では長い間発生がなく、同研究所は「詳しい感染状況を明らかにしたのは国内初。致命的なダメージを与える仕組みの解明や治療法の開発につながれば」としている。 ▽フィリピンで手を犬に
男性は昨年8月ごろ、フィリピンで犬に手をかまれた。10月に帰国、11月に入って風邪のような症状や水を怖がるなど狂犬病に特徴的な症状が出て重体となり、12月に入院先で死亡した。同じころ京都市の男性もフィリピンで感染し帰国後に亡くなったが、狂犬病は1950年代を最後に国内では発生しておらず、海外で感染し帰国後に発症した事例としても70年以来。病院の依頼を受け、新井信隆参事研究員(神経病理学)が動物衛生研究所(茨城県つくば市)の木村久美子主任研究員と共同で解析した。 狂犬病で死亡した場合の一般的な脳組織の特徴を、新井研究員は「多数のウイルスにより、ネグリ小体という小さな塊が脳の神経細胞の中にいくつもできるというのが、教科書に書いてある診断の目安でした」と解説する。 ところが今回、男性の脳の病理標本で、抗体を利用してウイルスなどを染色すると、ネグリ小体のほかに、小体を形作っていない無数のウイルスが神経細胞の中のほぼ全体に広がっていることが判明。ウイルスは脳の神経細胞を標的にするとされていたが、神経細胞の周りにあるグリア細胞にも入り込んでいることが分かった。 ▽見逃さないよう慎重に
「こうした感染状況が明らかになったのは国内で初めて。以前は、ウイルス自体を染める方法がなく、確かめる手だてがなかったからです」と新井研究員は言う。
今回の結果は、ウイルスがどのように脳の神経細胞に感染、増殖してダメージを与えるかの過程を解明するのに役立つとみられる。
狂犬病は、猫やコウモリなどにかまれて感染することもあり、新井研究員は「脳の病理診断の際は、標本の場所によってはネグリ小体が見つからないことも考えられる。狂犬病が疑われる症状があれば、見逃さないように慎重に解析してほしい」と医療関係者に呼び掛けている。(2007/9/11)
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