『アルコール依存症-1(4回続き)』


 増える若者、女性、高齢者
樋口進久里浜アルコール症センター副院長

 
 酒を飲まずにはいられず、やめると禁断(離脱)症状が出るアルコール依存症。その病態や治療について、三笠宮寛仁さまの治療にも当たった国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の樋口進・副院長に聞いた。

  ―患者はどのくらいいますか。
 「2003年に厚生労働省研究班で成人3500人を対象に行った調査では、男性の7.1%、女性の1.3%が依存症の疑いがある予備軍で、男性の1.9%、女性の0.1%は依存症といえる状況でした。推計では、依存症患者は80万人、予備軍は360万人に達します」

 ―中年男性の病気というイメージですが。
 「最近は若者、女性、高齢者の比率が高まっています。特に女性患者は、各種の調査のたびに増加。社会進出が進んだことで、台所でこっそり飲むキッチンドリンカーから、男性と同じように外で飲み大量飲酒になるケースが増えました。精神医学的な問題を持つ人が多いのも特徴で、20代の女性患者の7割は過食、拒食といった摂食障害を経ていました。うつ病で、楽になるため薬代わりに飲んで、という例もあります。若者の患者にとって依存症は、摂食障害や薬物依存など数多く抱える問題の1つであり、立ち直る率が低い」

 ―高齢者は。
 「社会の高齢化もあり、60歳以上の患者が増え、わたしたちの病院では初診患者の約25%を占めます。以前から依存症で生きながらえてきた人のほか、退職後の環境の変化で依存症になる人が目立ちます。高齢者は、若い人に比べて断酒に成功する率が高い半面、他に病気を抱えているため離脱症状が複雑になったり、独り暮らしで面倒を見る人がいなかったりなどの課題があります」(続)(2007/9/11)


トップページへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2007 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved