『多発性硬化症-4(4回続き)』


 受け入れ、付き合う
横山和正順天堂大講師

 
 視力障害や感覚障害、歩行障害など、さまざまな神経症状が出る多発性硬化症(MS)。根本的な治療法は発見されておらず、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されているが、医療の進歩でコントロール可能になりつつあるという。症状や治療について、順天堂大医学部脳神経内科の横山和正講師に聞いた。

  ―診断方法は。
 「診断基準は①中枢神経の2つ以上の病巣に由来する症状がある②症状が治まって安定する寛解や再発がある③他の病気による神経症状を除外できる―などを要件としています。問診、神経学的診察の後、MRI(磁気共鳴画像装置)で脳や脊髄(せきずい)の損傷を調べるほか、腰部に針を刺し髄液を調べる腰椎(ようつい)穿刺(せんし)、頭に電極を着けて目や耳、皮膚に刺激を与え伝わる速度を調べる電気生理学検査などを行います」

 ―何科を受診すればいいのでしょう。
 「多発性硬化症(MS)と間違えやすい病気に、頸椎(けいつい)症、脳梗塞(こうそく)、膠原(こうげん)病、ベーチェット病、サルコイドーシス、脳脊髄腫瘍(しゅよう)があります。うつ病や更年期障害と言われた患者さんもいます。最終的には神経内科の専門医の診察が重要です。症状がなく脳ドックで異常が見つかってわたしたちの病院を受診し、MSと診断される患者さんが、年に何人かいます」

 ―患者の注意事項は。
 「免疫のバランスの崩れが再発の引き金となることが多いと考えられており、感染症にかからないよう十分な休息と栄養、手洗い、うがいを励行しています。大けがや手術、受験や転職といったストレスもきっかけになります。暑いところでは症状が悪化するので、熱い風呂やサウナ、岩盤浴は避けてください」

 ―出産を希望する患者も多いようですが。
 「MSは遺伝病ではなく、感染もしません。妊娠や出産は好ましくないと考えられていた時期もありました。しかし、妊娠中は胎児を異物として排除しないよう免疫系が変化し、症状は初期や出産後を除き多くは安定します。妊娠、出産を避ける必要はないのです。MSと診断されても恐れずに病気をよく知り、受け入れ、付き合っていくことが大切です」(完)(2007/9/04)


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