|
視力障害や感覚障害、歩行障害など、さまざまな神経症状が出る多発性硬化症(MS)。根本的な治療法は発見されておらず、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されているが、医療の進歩でコントロール可能になりつつあるという。症状や治療について、順天堂大医学部脳神経内科の横山和正講師に聞いた。
―進行による分類は。
「症状が治まって安定状態にある寛解と再発を繰り返す『再発・寛解型』が、日本では大半を占めます。再発・寛解型から移行し寛解のときにも症状が進行する『2次進行型』と、再発・寛解が初めからはっきりせず慢性的に悪化する『1次進行型』もあります。再発・寛解型での再発の間隔は人によって違い、1年に数回の人もいれば、20年たって再発する人もいます」
―治療法は。
「現在のところ、根本的な治療法はありません。発症・再発してすぐの急性期の治療は、ステロイドパルス療法で、1日1グラムのメチルプレドニゾロンを3―5日連続で点滴し、炎症と免疫を抑えます。重症の場合には入院が必要で、血液を浄化する血漿(けっしょう)交換や免疫吸着療法、場合によって免疫抑制剤や免疫グロブリンの投与などを行います」
―寛解期には。
「再発までの期間を延ばし、病状の進行をできるだけ抑える目的で、免疫のバランスを調整するインターフェロン治療を行います。自分で、または家族に注射してもらう自己注射が認められており、1日おきに皮下に注射するインターフェロンベータ1b(ベタフェロン)に加え、週に1回筋肉注射する1a(アボネックス)も登場しました。秋にはFTY720という新薬の治験(臨床試験)が国内でも始まる見通しです」
―治療開始のタイミングは。
「欧米では、多発性硬化症(MS)の診断基準を完全に満たす前にインターフェロン治療を始めた方が再発が少なく、日常生活のレベルが悪くならなかった、MSと診断されることが少なくなった、という結果が出ています。早期診断とともに早期治療、再発予防が重要なのです」
(続く)(2007/8/21)
|