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視力障害や感覚障害、歩行障害など、さまざまな神経症状が出る多発性硬化症(MS)。根本的な治療法は発見されておらず、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されているが、医療の進歩でコントロール可能になりつつあるという。症状や治療について、順天堂大医学部脳神経内科の横山和正講師に聞いた。
―病気の仕組みを詳しく教えてください。
「神経細胞からは、軸索という突起が延びており、ここを電気信号が伝わることで情報が伝達されます。軸索はミエリン=髄鞘(ずいしょう)=という膜が覆い、信号が漏れないよう絶縁体の働きをしています。免疫細胞によってミエリンや軸索が傷つくと、情報伝達が遅れたり途切れたりして、神経症状が出るのです」
―電気コードのようなものですか。
「違うのは、ミエリンには所々にくぼみがあって軸索が露出している点です。信号は溝から溝へと飛び越えるように伝わることで、効率的に伝達されています。ミエリンは通常、傷ついても修復されるので、神経症状は回復します。しかし、再生能力に乏しい神経細胞まで損傷すると、後遺症が出てしまいます」
―傷つくのは中枢神経だけですか。
「末梢(まっしょう)神経にも軸索やミエリンがありますが、構成する細胞が中枢神経とは異なり、それが損傷した場合はギラン・バレー症候群やCIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)といった別の病気になるのです」
―病気の経過は。
「人によって違います。多発性硬化症(MS)は病状や進行の仕方で分類され、部位別では、日本やアジアに多く視神経と脊髄(せきずい)だけに症状が現れるOSタイプと、小脳、大脳も含め広い部位に出る欧米タイプがあります。このほかOSタイプと同様に視神経と脊髄に症状が出るが重い後遺症をきたすことが多いNMOという病気は、異なる原因であり、MSの治療薬インターフェロンベータの効果が疑問視されています。最近は日本人でOSタイプが減少する一方、欧米タイプが増えており、食生活や衛生面の変化による影響と思われます」(続く)(2007/8/21)
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