心不全悪化の兆候キャッチ
ペースメーカーに新機能
   胸に埋め電気刺激を与えて心臓発作を治すペースメーカーに、3つの新機能を持たせた機種を医療機器販売会社、日本メドトロニック (東京都)が開発した。心不全悪化の兆候キャッチ、無線通信、電気ショックの迅速化で、いずれも国内初の機能という。

▽肺に水分が
 心臓は、電気刺激により収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送る。このリズムが乱れてポンプの働きが鈍り、送り出す血液が減って起きるのが心不全で、原因は心筋梗塞(こうそく)や、心拍が不規則になる不整脈などさまざま。息切れや疲れやすいといった症状のほか、重症になると呼吸困難に陥ることもある。
 ペースメーカーは心臓のリズムを回復させる装置だ。胸の皮下に植え込み、本体から延びるリード線を心臓へ挿入。先に付いた電極で心臓の活動を監視し、心拍が速くなるなど異常が現れると、一定の電気刺激(ペーシング)で心拍を安定させる。
 改善しないときや心室が小刻みに震える細動を感知した場合は、電気ショックを与え発作を止める除細動機能を備えた機種もある。同社はこのタイプのペースメーカーを、さらに進化させた。
 その一つが胸の内部の電気抵抗を測定し、心不全悪化の兆候をとらえる機能。心不全は悪化すると、肺に水分がたまることが多い。東京女子医大 の庄田守男准教授(臨床不整脈)は「悪化に伴って肺の血圧が高くなり、血液中の水分が肺にしみ出るため」と話す。
 
▽無線で24時間観察
 水分が多いと電気抵抗が下がることを利用、本体と電極の間で微弱な電流を飛ばし「普段の抵抗値を基準に異常と判断されれば、ブザーを鳴らし本体に記録もできる」(黒石元朗日本メドトロニック課長)ようにした。
 また、電気刺激の間隔や強さの設定は、専用機器を胸に当て磁気を利用した通信により体内の本体で行っていたが、記録データの本体からの読み取りも含め、無線通信でできるようになった。患者は服を脱がずに済み、植え込み手術などの時間短縮にもなる。
 ペーシング終了後、電気ショックに入るまでの時間も、充電方法の工夫で短くなったという。  同社は7月、ペーシングの方式が違う2製品の販売を開始。庄田准教授は「欧米では普通に用いられており、世界標準の治療法と言える。将来は、無線通信を応用し自宅での24時間観察もできるようになるかもしれない」としている。 (2007/8/21)

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