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手足の難治性かいよう治療 名古屋市立大病院 |
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皮膚がただれてなくなり、重症化すると骨がむき出しになる手や足のかいよう。体の組織を再生する働きがある骨髄細胞を用いて患部の状態を良くした上、表皮を移植して修復する治療に、名古屋市立大病院が取り組んでいる。ほかの治療法で効果がない難治性のかいようが対象で、患部の切断を回避できたケースもあるという。
▽血流悪化で
手足のかいようは、糖尿病などで血液の流れが悪くなって栄養が行かないために起きることが多い。強皮症などの膠原(こうげん)病や、皮膚がんの切除後、やけどによっても生じる。血の流れを増やす塗り薬や、皮膚移植のほか、血流改善を狙う血管の手術といった治療法があるが、血行がうまく回復しない場合は、病変部が広がったり再発したりする。放っておくと患部から入った病原菌が全身に回る恐れもあり、手や足を切断せざるを得ないことが多いという。 こうした難治性かいように対し、名古屋市立大の森田明理教授(皮膚科学)のチームは、組織の再建にかかわる複数の細胞へ分化する患者自身の骨髄細胞を利用し、その後、表皮だけを移植している。 ▽なじみの良さ 治療では、かいようができた部位の骨を削り、中心部に入っている骨髄細胞を流れ出させ、患部にまいた状態にする。さらに、骨髄細胞を患部にとどまらせ、乾燥も避けるため、透明フィルムで覆う。 骨髄細胞は、新しい血管のもとになる細胞や、傷を縮めるなどして治す細胞、修復に必要な細胞を引き寄せる細胞になると考えられるという。 チームの山口裕史准教授は「移植する表皮が、しっかり定着する状態にもっていくのが目的です」と説明する。表皮移植するのは5日―約3週間後で、赤くてみずみずしい肉芽組織ができているかが着手の目安だ。 山口准教授によると、従来の皮膚移植では、太ももや腹部からとった表皮とその下の真皮の両方を使う方が丈夫とされてきたが、名古屋市立大病院では表皮だけを移植している。 「真皮はもとあった場所の性質を残しているため、移植する場所になじみにくい。表皮だけの方が、形態、機能とも患部にふさわしい皮膚になる」と山口准教授は言う。 ▽人工的に水膨れ ![]() グループは、ユニークな表皮移植法を採用している。局所麻酔をした後、直径約1センチの注射器の筒を、採取する皮膚の表面に当てて吸引、水膨れをつくって浮き上がらせた表皮を切り取るのだ。患部に載せた表皮は生着、増殖し、かいようが治る。 患部が大きい場合は、複数の筒で吸引し多くの表皮をとるが、真皮を一緒にとる方法よりも傷が残りにくいという。 山口准教授は、前任の大阪大病院で1998年ごろから中高年を中心に約60人に実施、今年7月からは異動先の名古屋市立大病院で始めた。 糖尿病性の足のかいようで重症患者を比較した98年12月―2002年3月のデータでは、足の切断に至ったのは、塗り薬など通常の治療を受けた9人の中では8人だったが、今回の治療を受けた11人ではゼロだった、としている。 実施が難しいのは、患部が広い範囲で完全に壊死(えし)しているなどのケース。山口准教授は「自然治癒力を手助けする治療法。簡便な手術で、患者の体への負担も少なく、副作用の心配はほとんどない」と話している。(共同通信 谷本敏之)(2007/8/21) +font> |