『海・山での応急手当てー3』


 水あれば事故あり
二宮宣文日本医大准教授

 
 海や山に行く機会が増えるシーズンになった。心身をリフレッシュできる半面、思わぬ危険が待ち受けているかもしれない。いざというときの応急手当てについて、日本医大多摩永山病院(東京都多摩市)の二宮宣文救命救急センター長(准教授)に聞いた。

 ―海や川での水の事故が後を絶ちません。
 「おぼれた人を救助したら、すぐに周囲に助けを求め119番してAED(自動体外式除細動器)を持ってくるよう頼みます。おぼれた人の意識がなく呼吸をしていないようなら、心臓マッサージと人工呼吸の心肺蘇生(そせい)術を始めてください。意識があり、せき込んでいれば、水が肺に入っている可能性があるので、寝かせて横を向かせ水を出します。無理に水を吐かせる必要はありません」

 ―心肺蘇生の方法は。
 「心臓マッサージは胸の中央が4、5センチ沈むくらい体重をかけて、1分間に100回の速さで押します。マッサージを30回やったら、口に息を吹き込むマウス・ツー・マウスの人工呼吸を2回。人工呼吸でマッサージを中断するより、マッサージだけ続けた方がいいという意見もあります。心臓マッサージはAEDか救急隊が来るまで、あきらめずに続けてください。それにより救命率や社会復帰率が高くなります」

 ―意識があり水を吐けば安心ですか。
 「水でおぼれる『溺(でき)水』には、水が肺や気管に入ることで窒息する、つまり血液に酸素を取り込み二酸化炭素を放出するガス交換ができなくなる1次的溺水のほかに、2次的溺水もあります。これは、おぼれた後に起きる呼吸器感染症や、脳の水分量が増え脳が腫れる脳浮腫などで、死亡することもあるので注意が必要です」

 ―子供の事故は特に悲惨ですね。
 「夏休みに外国に行って、おぼれて亡くなる子供がいます。日本と違って監視員がいないプールもあり、親が十分注意すべきです。行楽地では開放的な気分になりますが、水のあるところでは、おぼれる危険性は常にあるので、気を緩めないでください」(続) (2007/7/24)


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