ぜんそく死86%は高齢者
発作起こさない治療が重要
2成分の配合剤も登場
 患者が全国に450万人いるとされるぜんそく。死亡者は年間約3000人で10年前の半分に減った。だが死者の86%を占める65歳以上の高齢者を中心に、患者は増加傾向にあり、専門家は「1人ひとりに合った薬を選び、発作を起こさない治療を」と指摘している。

▽コントロール
 ぜんそくは、気管や気管支が炎症を起こし、空気の通り道である気道が狭くなるため、呼吸が苦しくなる病気。成人の3―4%、小児では4―7%が患っているという。
 昭和大 の足立満教授(呼吸器・アレルギー学)によると、国内のぜんそくによる死亡率(人口10万人当たり)は2.5人で、先進国の中では高い。「症状をコントロールする薬が十分に普及していないためだ」という。
 薬は大きく分けて、発作を起こさないための「長期管理薬」と、発作が起きたときの「発作治療薬」の2種類。
 野球にたとえると「長期管理は、炎症を抑えるエースの吸入ステロイド薬と、気管支拡張効果がある長時間作用性ベータ(β)2刺激薬やテオフィリン徐放製剤などのキャッチャーの組み合わせ。発作が起きたときにはリリーフとして、短時間作用性吸入β2刺激薬や経口ステロイド薬を投入する」(足立教授)。

▽相乗効果も
   起きた発作に対処するより、発作を起こさないようにコントロールする―。長期管理薬の重要性は認識されつつあるが、患者にとっては、使う薬が平均2.7剤あるなど煩雑な上、吸入ステロイド薬には即効性がないことから「効いていない」と勝手に判断してやめてしまう例もあるという。  その欠点を克服できると注目されているのが、吸入ステロイド薬と、ステロイドよりは効き目が早く出る長時間作用性β2刺激薬を配合した「アドエア」だ。120カ国以上で承認され、日本では6月に販売が始まった。
 2成分を一緒にした効果について、足立教授は当初、患者の煩雑さが省けるだけと思っていた。しかし「ステロイド薬はβ2受容体の合成を促進し、β2刺激薬はステロイドの抗炎症効果を増強するという、相乗作用も分かってきた」という。

  ▽使い分け
 アドエアのように、粉末で息とともに吸い込む薬では、呼吸する能力が落ちた高齢者では吸入が難しいこともある。「そういう場合は、噴霧式のステロイドと、皮膚に張り付ける『ホクナリンテープ』のような長時間作用性β2刺激薬の組み合わせなど、患者によって使い分ける」ことを足立教授は勧めている。
 医師を対象にした調査では、粉末薬を使う患者が約70%、噴霧薬が約30%だが、両方を使い分けているのは専門医で67%、一般医では29%にすぎない。患者が効果的な治療を受けられていない恐れがあり、医師の啓発も課題となっている。
 小児期からずっとぜんそくを患っているのは成人患者の20%で、中高年で発症するケースが意外と多い。年齢が上がるほど、喫煙が深くかかわる慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)などの合併症や重症患者の割合が高まり、治療の難しさや死亡率の増加につながっている。
 足立教授は「人口の高齢化に伴って増えている高齢患者の治療が、重要なターゲットとなっている。個々の症例に応じた適切な治療を選択すべきだ」と話している。(共同通信 影井広美) (2007/7/10)

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