『ナルコレプシー2』


 目覚めている機能が低下
内山真・日本大教授

 
 昼間に過度の眠気が襲い、仕事中でも食事中でも寝てしまうことがあるナルコレプシー。眠りながらマージャンをしたという作家の阿佐田哲也さんのエピソードが有名だが、治療を受けている患者は、まだ一部という。病状や診療について内山真・日本大教授(精神医学)に聞いた。

 ―なぜ過度に眠くなるのですか。
 「眠気を誘う物質が出ているのではなく、目を覚ましておく神経機構の活動が低下しているのです。思考や運動をつかさどる大脳皮質を活性化させ、目覚めている状態を維持するため、脳内では2つの系統で神経伝達物質が働いています。1つはノルアドレナリンやドーパミンが関係する系で、もう1つは主にヒスタミンがかかわる系。これらが低下するのです」

 ―2つの違いは。
 「目を覚ましていると、脳脊髄(せきずい)液中にプロスタグランジンD2という物質が増え、ヒスタミン系が抑制されて眠くなります。ヒスタミン系は眠気そのものにかかわる系といえ、カフェインはこの途中をブロックします。ドーパミン系は、興奮していると眠くないように、気合を入れて目を覚ましている系と考えられています」

 ―低下の原因は。
 「両方の系を促進するオレキシンという神経伝達物質が、ナルコレプシー患者の脳脊髄液中ではほとんどなくなっているためで、特にヒスタミン系の働きが不十分になります。患者は特定の白血球の型(HLA)を持っており、自己免疫が関係してオレキシンが作られなくなると考えられます。ただ、この型だからといって発症するわけではありません」

 ―レム関連症状の仕組みを教えてください。
 「目覚めている場合、中脳の覚せい中枢の働きにより、外界の刺激があれば大脳皮質が反応し、体を動かすなどの出力があります。夢を見るレム睡眠の時にはレム睡眠中枢が活性化し、出力、つまり意思で体を動かす経路を遮断。ナルコレプシー患者では、起きているときや寝入りばなにレム睡眠中枢が働き、特に出力を遮断するので、金縛りや脱力になるのです」 (続)(2007/6/19)


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