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超音波検査に新造影剤 悪性度、治療効果判定も |
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肝臓の超音波検査の際に注射することで、コンピューター断層撮影(CT)では見つけにくい小さながんも鮮明に写し出す新しい造影剤が登場した。正体は、フッ素系のガスが入った微小な気泡(マイクロバブル)。空気の泡を使う従来の造影剤より超音波をよく反射するため、高精度の画像が得られ、悪性度や治療効果の判定にも威力を発揮している。
▽肺から排出 新造影剤は、第一三共が1月に発売した「ソナゾイド」。ペルフルブタンガスの泡を脂質膜が覆う構造で、直径2―3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と、同約8マイクロメートルの赤血球より小さい。
約1ミリリットルの水に混ぜて注射すると、血流に乗って全身を循環。一部はしばらく肝臓にとどまるが、数十分以内に脂質膜が溶け、ガスは肺から息とともに吐き出される。超音波診断装置の画面で、気泡は白く見える。注射して10秒足らずでがんが白く浮かび上がり、やがて肝臓全体が白く、10分ほどするとがんの部分が黒く抜けてくる。 これは「がん細胞に酸素や栄養を送る腫瘍(しゅよう)血管の特性による」と東京医大の森安史典教授(消化器内科)は説明する。 肝臓に行く血液の多くは、動脈から腸、門脈を経て届く。一方、がんには動脈から腫瘍血管という近道を通るので、早く到達する。 さらに、正常な血管の内皮にあるクッパー細胞は、異物とともに気泡を取り込むため白く見え続けるが、クッパー細胞が少ない腫瘍血管では気泡は流れ去り、すぐに黒くなるのだという。 ▽40%多く
白くなる過程や濃淡も、重要な情報を与えてくれる。「がんは血流が盛んで一気に白くなるが、良性の血管腫ではゆっくり白くなり、がんかどうかの鑑別診断が可能。また、真っ黒だとクッパー細胞が少なく悪性度が高い、灰色なら良性、と悪性度も分かる」。そこに初めてできたがんか、別の場所からの転移かの区別や、血管をふさぎがんを“兵糧攻め”にする塞栓(そくせん)療法の効果も判定できる。 治験(臨床試験)では、造影超音波と造影CTで約160人の患者の病変を見つける試験を実施。1センチを超す病変に関しては大差なかったが、1センチ以下のものは造影超音波の方が40%多く見つかったという。 超音波の出力を少し上げると気泡が消えることを利用し、血液が入っていく様子を繰り返し観察できるのも、CTにはまねのできない特長だ。 気泡は1ミリリットルの注射液中に約10億個。森安教授は「ガスの量は点滴の際に入る気泡の量と変わらない。空気の泡の造影剤は国内で年間約5万例、約8年間使われているが事故はない」と安全性を強調する。 ▽ナノバブルも
ただ、ソナゾイドは脂質膜に卵の成分を使っているので、卵アレルギーの人には原則として禁止。それでも「CTと違って被ばくしないので、広く使われるようになるだろう」と森安教授。将来は乳がんや膵臓(すいぞう)がん、前立腺がんへの適応拡大のほか、リンパ節転移の把握にも使えるのではと期待されている。 マイクロバブルは血管から出られないが、日立製作所中央研究所と東京大は、直径が約10分の1で細胞表面まで届く「ナノ液滴」を開発した。腫瘍血管の壁が正常な血管壁より大きなものを通す性質に着目したものだ。 脂質膜の中は液体で、そのままでは超音波を十分に反射しない。このため、細胞表面に届いた段階で強めの超音波を当てて中をガス化、体積が千倍のマイクロバブルに変化させる。動物実験で腫瘍を写し出すことに成功し、実用化を目指している。(共同通信 影井広美)(2007/6/12)+ font> |