『色素性乾皮症-3


 遺伝子治療研究も
林雅晴・東京都神経科学総合研究所研究員

 
 紫外線に当たると皮膚がんになる危険性が極めて高いため、太陽の光を避ける生活を強いられる色素性乾皮症(XP)。この病気の女性を主人公にしたラブストーリー「タイヨウのうた」の映画やドラマでも注目された。病気の実情について東京都神経科学総合研究所の林雅晴・副参事研究員に聞いた。

 ―神経症状はどうして起きるのですか。
 「色素性乾皮症(XP)の原因遺伝子は分かっています。しかしマウスなどの動物実験で、単独の原因遺伝子を操作しても神経症状は現れません。神経症状を伴うXPがイタリアから報告されたのは1930年代ですが、その仕組みはまったく分かっていないということになります」

 ―どのようなメカニズムが想定されますか。
 「皮膚症状を招く体内のDNA修復機構の問題だけから説明するのは難しいため、国内外で主に二つの側面から原因解明が進行中です。一つは、呼吸すると体内に蓄積され、がんや老化の原因になるとされる活性酸素という不安定な酸素が神経を傷めるというもの」

 ―もう一つは。
 「遺伝子からタンパク質が合成される過程で異常が生じる転写障害が関係している、とするものです。転写障害は、さまざまな生命活動に悪影響を与えることが知られています。皮膚症状の悪化は紫外線を遮断することで、ある程度防げますが、神経症状の進行は抑えられないのが実情で、神経障害に根本的な治療法はまだありません」

 ―研究の現状は。
 「根本治療の実現には、遺伝子に手を加える遺伝子治療が有望で、動物などを用いた研究も進んでいます。研究は皮膚がんの多い米国で活発に取り組まれており、国内でも、もっと進むことが望まれます」

 ―長期的な展望は。
 「日本に多いA群のXPでは、重度のあらゆる神経症状が出ます。このため、XPの研究はパーキンソン病やアルツハイマー病、脊髄(せきずい)小脳変性症など、運動や知的障害が伴う多くの神経疾患の治療にも役立つと期待される。DNA修復機構の問題という観点では、がんの研究にもつながります」
(続く)(2007/5/29)


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