高脂血症改め脂質異常症
悪玉コレステロールを重視
 動脈硬化によって起きる心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの予防、診療のガイドラインを、日本動脈硬化学会が5年ぶりに改訂した。ポイントは、動脈硬化性疾患の原因となる高脂血症の名称を「脂質異常症」に変え、診断では悪玉(LDL)コレステロールを重視したこと。治療は生活習慣の改善が基本で、安易な投薬にも注意を求めている。

▽外国の表記と統一
 動脈硬化は、コレステロールや中性脂肪などの脂質が動脈にたまるのが一因。同学会は、血液中の脂質が異常に増える高脂血症を中心にした診療ガイドラインを1997年にまとめ、2002年に最初の改訂をした。
 これまでは、余分なコレステロールを回収し動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロール値が低い人も、病名は「高脂血症」だった。このため「高脂血症は適切な表現ではない。諸外国の表記と統一する必要もある」として、脂質異常症に変更した。
 また、悪玉と善玉を足した総コレステロール値を診断基準から除外した。改訂に当たった帝京大の寺本民生教授(内科)は「動脈硬化に直接かかわるのは悪玉だけなのに、善玉の値が高いために総コレステロール値が高くなり、高脂血症と診断される人もいるから」と説明する。
 今回の改訂で、脂質異常症の診断基準は①悪玉コレステロールが血液1デシリットル当たり140ミリグラム以上②善玉コレステロール同40ミリグラム未満③トリグリセライド(中性脂肪)が同150ミリグラム以上―のいずれかに該当したときとなった。
 ただ、これらは「薬物治療の開始基準ではない」と明記。寺本教授は、まずは食事療法や生活習慣の改善が基本で「糖尿病や高血圧、喫煙など、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすほかの危険因子の有無を考え合わせ、薬を使うかを決めるべきだ」とくぎを刺す。

▽食事療法や生活習慣の改善が基本
 その上で、心筋梗塞などの冠動脈疾患を起こしたことがない人では、生活習慣の改善に3―6カ月間取り組んでも悪玉コレステロール値が改善目標に達しないときに、薬物治療も考慮。
 冠動脈疾患を起こしたことがある人は、悪玉の値を百ミリグラム未満にすることを目標に、生活習慣の改善とともに薬物療法による積極的な治療が望まれる、としている。
 寺本教授は「脂質異常症の名称を含め、ガイドラインの普及を進めたい」と話している。(2007/5/29)

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