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ホウ素との核反応で破壊 エックス線上回る成績も |
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悪性脳腫瘍(しゅよう)の細胞にホウ素を取り込ませた上で中性子線を照射し、そこで起きる微小な核反応を利用してがんを破壊しようとする臨床研究に、・筑波大病院(茨城県つくば市)などが取り組んでいる。正常細胞に大きなダメージを与えないのが利点とされ、脳腫瘍の種類によっては通常のエックス線治療を上回る成績が出ているという。
▽2つの粒子線 この治療法はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で、米国やオランダ、フィンランドなどでも実施されている。原理はこうだ。ホウ素を含む化合物を患者に点滴で投与し、がん細胞に取り込ませておく。そこへ中性子のビームを当てるとホウ素と核反応が生じ、アルファ線とリチウム線が発生。この2つの粒子線は、遺伝子を切断して細胞を壊す力を持っており、がんを死滅させる―。 ホウ素化合物は盛んに分裂しているがんに栄養分として取り込まれやすく、正常細胞に入る量はその数分の一から数十分の一。さらに、発生する粒子線は約0・01ミリの極めて小さな範囲にしか広がらず、筑波大の松村明教授(脳神経外科)は「ホウ素をたくさん取り込んだがんを、周りの正常細胞をあまり傷つけずに破壊できる」と説明する。 2つの粒子線は、通常の放射線治療で使うエックス線の約3倍の殺傷能力があり、高い効果も期待できるという。 ▽通常放射線に限界
筑波大では、悪性脳腫瘍の中で最も多い悪性神経膠腫(こうしゅ)を中心に応用している。悪性神経膠腫は、脳細胞の間にある細胞ががんになり、意識障害や呼吸停止を来す。がんが周りの脳にしみ込むように広がる浸潤が進み、手術で取りきるのは困難。治りにくいがんだ。 普通はがんの摘出後、再発防止を目的にエックス線などの放射線治療と抗がん剤治療を行う。 浸潤したがんをたたくには、放射線を広く当てるのが望ましいが、正常な脳細胞へもダメージを与える恐れがあり「通常の放射線では高い線量による強力な治療は難しく、効果に限界がある。再発も多い」と同大の山本哲哉講師。 捕捉療法は、がん摘出から数週間後に実施する。患者に、2種類のホウ素化合物を、照射の12時間前と1時間前に点滴。以前は開頭手術が必要だったが、エネルギーが高い熱外中性子線という新しいビームを使えるようになり、開頭しなくて済むようになった。 照射は、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉(茨城県東海村)で、約30分間にわたって行う。 ▽再発で好成績
筑波大は、悪性神経膠腫の一つで最も悪性の膠芽腫(こうがしゅ)の患者に関し、1998年以降のエックス線と中性子線の照射成績を比べた。中間解析では、再発までの期間はエックス線を受けた35人は平均約5カ月だったが、中性子線の14人では同12カ月に延長。摘出手術からの生存期間はエックス線で平均1年強、中性子線は同2年を超えた。 一方で捕捉療法では、脳の腫れと、目を動かす神経の一時的まひが1人ずつであり、正常組織の障害も起き得るという。 適用の条件は①腫瘍が脳深部に達していない②ほかの放射線治療などを受けていない③腫瘍の場所は左右どちらか片方④15歳以上79歳以下―など。 山本講師は「ホウ素化合物、中性子線とも、治療で使う量ではほぼ無害。ほかの施設では、頭頸部(けいぶ)や皮膚がんなど別のがんへの応用も進んでいます」と話している。(共同通信 谷本敏之)(2007/5/22)+ font> |