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仕事を成し遂げたという充実感や開放感、あるいは目標や生きがいを失ったような寂しさ、むなしさ―。人によってさまざまに感じる定年や退職をきっかけに、うつ病になる人が増えているという。産業医大(北九州市)の中村純教授(精神医学)に聞いた。
―患者の心構えは。
「病気であることを認め、治そうという気持ちを持つことです。また、大事な決断は、うつの時にしてはいけません。定年前にうつになって『会社を辞めれば治る』と思い込んで退職した。すると今度は経済的な不安にかられて、うつからなかなか回復できなかった、という例がありました。わたしは患者に『大事な決断は先延ばしにしなさい』と言っています。『アドバイスに従って、辞めないでよかった』という人もいます。落ち着いて次の仕事を見つけ、新しい環境に軟着陸できるようにしましょう」
―家族や周囲は、どう接するべきですか
「まず、うつ病の兆候を見落とさず、病気に気付く必要があります。兆候は、酒の量が増えた、イライラしている、元気がない、書類書きなどをおっくうがる、などです。治療に家族が付き添ってくれると、医師は患者の普段の様子や食事の内容などを家族に聞ける利点があります」
―励ましは逆効果になるそうですね。
「よかれと思って『がんばれ』と言うことは、患者にとって、かえって負担になります。家族は特別扱いせずに話を聞いて、見守ってあげてください」
―患者も家族も大変ですね。
「病気が長引くと周囲が疲弊するので、そのサポートも大事です。配偶者がうつになることもあります。主婦だと、退職した夫が朝から晩まで家にいて、毎回食事を考えないといけないので、疲れてしまう。夫が現在の環境や処遇に満足しておらず、もんもんとしていたら、なおさらです。家族だけでなく地域のサポートもあればいいのですが、都市部では『隣は何をする人ぞ』という雰囲気が強くなっているため難しいかもしれません」
(続く)(2007/5/1)
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