悪い知らせ伝達の6カ条
医師らが「心得」普及活動
   がんの診断結果や再発などの悪い知らせを少しでも良い形で患者や家族に伝えられるよう、医師が心得ておくべき6項目を示した情報提供術「スパイクス(SPIKES)」。説明への不満や不信感をできるだけなくそうと、医師らのチームが医療関係者向けに普及活動を進めている。
 スパイクスは、米臨床腫瘍(しゅよう)学会(ASCO)の関係者が2000年代に入って考案し、6つの心得の英文から1文字ずつ取って名付けられた。

▽コミュニケーション技術
チームの渡辺亨・浜松オンコロジーセンター長(腫瘍内科学)は「がんの転移や、終末期医療への移行、治療が効かない、重い副作用が起きたなど、医師も気が重く言いにくい知らせを伝えるためのコミュニケーション技術です」と解説する。
 まず重要なのは、面談の環境。忙しくても立ったままでの話は避け、全体を落ち着いて見られる医療関係者を配置する。
 患者の話をよく聴き、病気や治療をどのように理解しているのかを知ることも欠かせない。  3つ目に、「悩みを分かってくれる」などと患者に信頼され“聞く耳”を持ってもらうのも大切で、やり直せない過去の診療を否定することになるので、ほかの医師の批判は禁物という。
 学会の診療指針などを正しく理解し、それに基づき適切な治療の情報を提供することや、患者の状況に共感することも必要。
 最後に、患者らに今後どうすればよいのかを具体的に提案し、追い詰めないように「困ったらいつでも連絡を」などと伝えるよう求めている。

▽講習会を開催
  渡辺センター長が02年に開かれたASCOに参加したのを機に「医療はサービス業なのに、情報をうまく提供しようという視点がない」として、外科医、看護師を含む5人のチームを昨年3月に結成した。
 これまで名古屋や秋田で、医師や看護師、薬剤師を対象にスパイクスを学べる講習会を開催。モデルケースを設定し、参加者が医師役や患者役、家族役を演じ討論するなどして普及に取り組んでいる。
 渡辺センター長は「情報提供する上で、最低限のレベルまでは到達できると思う。立ち話でがんを告知された、医師が話を聞いてくれなかった、などの不満を減らしたい」と話している。(2007/5/1)

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